2017年12月30日土曜日

佐野元春「MANIJU」(2017年)と池田修三「ハナコ」(1982年)


佐野元春の2017年の作品「MANIJU」ジャケットと池田修三1982年作品「ハナコ」の比較。


まず、佐野元春の2017年の作品。


グットくるジャケットですね。アルチンボルトのようでもあります。













そして、秋田県の誇る版画家、池田修三が1982年に出した作品「ハナコ」






2017年12月16日土曜日

BRUTUS 2018年1/1・15合併号 危険な読書

読書や本の特集は媒体を問わず、つい触手が伸びてしまう。


また古本や書斎、本棚などの特集も手が伸びる。安心して読めるからである。


今回も仙台駅の書店で本書に手が伸びた。ペラペラめくっていたら、内藤陳の部屋の写真が目に飛び込んだ。自分の記憶が呼び覚まされた。読書好きに成った原因の一つが、この内藤陳が佇む部屋の写真が衝撃的だったからというのが一つの理由であった。いつだったか忘れたが、出会った衝撃は大変なもので、数十年以上昔であったが、たまにこの写真は頭に浮かんできた。本の壁が広がる部屋の右側に白い服装の内藤氏がタバコ片手に佇んでいる。


理想の部屋。


本しかない部屋。かなり素晴らしい。こんな生活をしたい、と思い思い生きてきた写真が目の前に現れた。衝撃的であった。新幹線の中でその写真だけで満足感を得ることが出来た。





















2017年10月7日土曜日

Jim Jarmusch 「Down By Low」

ジム・ジャームッシュ「ダウン・バイ・ロウ」です。1986年の作品。トム・ウェイツが主演しており、味のある演技を見せてくれます。また後に「ライフ・イズ・ビューティフル」で知られることになる、ロベルト・ベニーニも良いです。「ライフ~」よりも良い演技ではないですかね。

本作品ではロベルト演じるロベルト、ボブの存在感が観ている人間の心を捉える。ロベルトと他の二人を観て、ロベルト的人生や生き方に共感できるが、その境地に達するのはなかなか難しい。普通に生きていれば、どうしてもザックやジャックの生き方になってしまう。

そんなことを感じながら見ていましたが、ストーリーの寓話的な展開に難しいことや難癖をつけることなく最後の三叉路まで面白く見ることができました。

良い映画です。

やはり見終った後は、トム・ウェイツ「レイン・ドッグ」を聴いてしまうのです。


2017年9月30日土曜日

「運慶」 東京国立博物館

9/28(木)飛行機待ち時間を利用して、行きたかった上野、東京国立博物館で「運慶」を観にいく。

展覧会自体が始まったばかりで、混雑が予想されたが、天気もぐずついていて、これは大丈夫だろうということで、いざ上野へ。

予想通り、入場は並ばずに入ることに成功。時間は1時間30分しかないので、余計な時間を使わずに入場できるのはありがたかった。

入場すると、一発目は運慶デビュー作がお出迎え。ここでテンションも一気に高まる。

その後は、奈良興福寺、康慶作の四天王立像に踏みつけられている邪鬼が可愛かったり、法相六祖坐像のリアリティが凄かったり、真如苑の大日如来坐像が思ったより小さかったり、金剛峯寺の八大童子に癒されたりしたにも関わらず、疲労困憊。でもやはり本展覧会のメインは興福寺の無著・世羅菩薩立像です。とくに無著菩薩のリアリティのある表情に眼がすいつけられてしましました。無著のその黒目勝ちのまなこに吸い寄せられました。やられました。見る事ができて良かった。

時期の関係で重源上人が見る事ができなかったのが残念だけど、高山寺の子犬の愛くるしさも良かった。

しかしこれだけ仏像を見ると、疲れた。お腹いっぱいです。


最後のデザートとして、法隆寺宝物館で沢山の金剛仏を見学して、終了としました。ここはちょっと敷地のハズレにあって、いつも空いています。でも個人的に大好きな博物館です。


無事予定の飛行機にも乗ることができました。良い展覧会でした。めでたしめでたし。
 

Jim Jarmusch 「Stranger Than Paradise」

ジム・ジャームッシュ 「ストレンジャー・ザン・パラダイス」です。1984年の作品。もう30年以上昔の作品ですね。

当時は最先端の人間の必見作品のような扱いを受けた、おしゃれさん専用映画のような扱いを受けていましたが、30年以上寝かせれば、作品の核が浮かび上がってきます。すべてがワンシーン・ワンショットで間に黒幕が入る造り。モノクロームの粗い画面に主人公3人の存在感が立ち上る。

ラストのどんでん返しは痛快。エヴァが可愛くも味のある女の子で嬉しい。
物語の始めと終わりが繋がり、物語やタイトルを浮かび上がらせる。
良い作品です。

別におしゃれさん用作品でもなんでもなく、ただただ作品に身をゆだねればよろしい。

良い作品でした。

2017年9月18日月曜日

スタンダール 「赤と黒」(上下巻)

スタンダールの「赤と黒」を読了。800ページ強ありますが、楽しく読み進めることが出来ました。物語として楽しめるからです。


平民のジュリアン・ソレルが階級を這い上がろうとするドラマ。貴族や僧侶やお金、知恵を駆使し、這い上がろうとする様は現代の小説の主題ともなりえる。特に終盤のジェットコースターな展開に心奪われました。こういう社会的階級制度や、そこを乗り越える物語はやはり若いうちに読むべきでしょう。そういうことに心が繊細な時期に読むべき書です。パンクロックに通じるといったら良いでしょうか。その不満や不条理を理解し、主人公の立場になって読み進めることができるのも若いうちです。年をとると様々なことが判ってきたりしちゃうから。。。残念です。


「武器を取れ」という思想で貴族社会や階級社会に挑んでいったジュリアンのパンクスピリットに敬意を表します。

Queensrÿche 「Promised Land 」

クイーンズライクの5枚目のアルバム「約束の地-プロミスト・ランド」です。1994年の作品。発売当初はその内省的な作風が心に響かず、20年以上寝かせてきたアルバムでしたが、昨日聞きなおしたところ、これがまた良かったのです。

前作「Empire」(1990年)がヒット曲もあり、耳障りの良いキャッチーな作品であり、また前々作「Operation: Mindcrime」(1988年)が専門誌も絶賛する名作メタルアルバムであったこともあり、当時の私の気分本作の内省的な作風に合わず、放置状態となっておりました。ところが年をとり、聴き直すと心にスット入ってくる楽曲たちでした。

時代の雰囲気もあるのでしょう。その頃のシーンではグランジやオルタナといった旋風が巻き起こっておりました。プログレッシブなメタルということだけで、時代から敬遠されていたのです。

今の時代彼らが当時目指したものが、自然に心に入ってきます。素晴らしい名曲達です。これからの愛聴版です。この作品から時代と時間が必要な作品があることを教えてもらいました。

2017年9月3日日曜日

「ミューズ まなざしの先の女性達」 秋田県立近代美術館

「ミューズ まなざしの先の女性達」を秋田県立近代美術館で観る。
国立西洋美術館の女性をモチーフにした作品がメイン。国立西洋美術館の個人的なミューズ、カルロ・ドルチ「悲しみの聖母」も秋田出張でちゃんといらっしゃいました。聖なる横顔をブルーのショールに包んだそのお姿は相変わらず美しい。

ダフィット・テニールス(子)「聖アントニウスの誘惑」もコチラに出張。ボスのような幻想的な絵画です。

東京でしか見られないこのような作品達が秋田で見る事が出来ることに感謝。


お庭では秋田県にご挨拶。作者は仏像でお世話になっている東京芸大の薮内先生でした。
 


2017年9月2日土曜日

「ボストン美術館の至宝展」 東京都美術館

「ボストン美術館の至宝展」を上野の東京都美術館で観る。古代エジプトから中国美術、日本美術、フランス絵画、アメリカ絵画、版画・写真、現代美術とボストン美術館の守備範囲のごとく、広い守備範囲の展覧会。

日本でいうと、喜多川歌麿から村上隆まで。縦にも横にも奥行きも広い展覧会となった。メインはゴッホのルーラン夫婦の2枚。流石の大迫力。

またモネの「ルーアン大聖堂」も感動の作品。アメリカ美術も良い作品が多く感動しました。

それにしてもモースやフェノロサに日本美術の良さを我々は教えてもらったんだな、と非常に良く判る展示会。

自分のことを自分で判断できない我々の感覚。展覧会を観て反省も浮かび上がる、複雑な心境であった。

「アルチンボルド展」 国立西洋美術館

「アルチンボルド展」を上野の国立西洋美術館で観る。日曜美術館で予習済みでしたので、お目当ての作品もしっかりありました。

それは春・夏・秋・冬を表した4枚の絵画と大気・火・大地・水を表した4枚の絵画が2枚1組で壁の4面に飾られている作品達です。全てがそのタイトルに関係するもので組み合わされた人物が描かれている。
この8枚4面に囲まれていると当時の所有者は世界制服した気分になったのであろう、日曜美術館の解説は全くそのとおりだと感じました。これはこれでよい展示会であり、刺激を受けました。


今回の国立西洋美術館では、常設展が非常に良かった。
まずはヨハネス・フェルメールに帰属とされている、「聖プラクセディス」です。フェルメールの真作かどうか専門家の間でも判断が分かれている作品。
作品自体は非常に素晴らしいものです。でも人だかりも何もない。もし真作だと決定されれば、本作品だけで展覧会が企画されるであろう、大傑作です。アルチンボルドであれだけ混雑しているのであれば、本作品がフェルメールであったときの混雑は想像を絶します。
今は誰にも注目されない作品。今のうちに目に焼き付けておきましょう。また企画展を観たら毎回、常設展にも足を運びましょう。
大傑作です。

もう一枚常設展で心打たれた作品がギュスターブ・ドレの「ラ・シエスタ、スペインの思い出」です。
常設展でいつもはっとさせられる作品。今回も絵の前でしばし立ち止まりました。
光のコントラストが素晴らしく、画面の人間たちの生活感を炙り出している。傑作です。

今回は常設展の図録を購入。「聖プラクセディス」は記載が無く寂しかったですが、大満足の展覧会でした。でも常設されている美人さん達が出張中でしたので、出張先の秋田まで追いかけたのでした。




2017年8月15日火曜日

POPEYE 「本と映画のはなし。」

普通の人の生活に興味がある。最近でいうとNHKの「72時間」という番組は秀逸である。普通の人の生活の断片が垣間見ることが出来る。昔で言うと、フジテレビの「ノンフィックス」。今もやっているか。またはマンガの「人間交差点」。文庫サイズの作品は全てそろえた。このようなものに心揺さぶられる。

POPEYEの本と映画のはなし。であるが、普通の人とは言えない選者が大体、本2冊、映画2本を選んで紹介している。紹介しているだけで、添えられている文章は他人がインタビューを元に起こしたものだ。(きっとそうだ)。でも面白かった。選者のほとんどが自分より年下なのがまず面白い。これまではこのような道しるべのような本は、選者がたいてい自分よりも年上のことがほとんどであった。今回は数名以外、自分より年下である。面白い。

だからであろう、半分以上ほとんど自分が通過してこなかった作品達である。面白い。興味のあった数冊、早速注文した。

これからしばらく、本書に紹介された作品が本ブログの中心となるであろう。


2017年7月29日土曜日

Tradition 「CAPTAIN GANJA AND THE SPACE PATROL」

トラディション 「CAPTAIN GANJA AND THE SPACE PATROL」です。

ダブアルバム。ダブはあまり詳しくないというか、全くの門外漢です。

敬愛するブログの紹介があったので、購入した次第。「通年常用のハード・ドラッグと呼ぶに相応しい1枚」という文言にノックアウト。即購入したのでした。(CD)

これが正解。サイケな世界というか、タイトル通りのスペイシーな作品で、いつも聞きながら寝てしまう。精神の深部をリラックスさせてくれる効果があるのかもしれない。全くの門外漢なので、アーティストもダブも判りませんが、音楽自体の素晴らしさは理解できます。

良い作品を教えていただきました。最高の音楽です。


仲畑貴志 「この骨董が、アナタです。」

仲畑貴志 「この骨董が、アナタです。」を読了。
有名コピーライターの骨董に没入する日常を描いたエッセー。これは面白い。自分の失敗を包み隠さず曝け出しているところなんか、作者の生き様を感じることができて素晴らしい。文書もわかりやすい。漢字で書くところを敢えて平仮名で書いているところもあるが、読みにくさは全く無い。骨董入門というか、骨董に興味のある人が手に取る書であるが、読み物としても大変面白く読むことができます。いいなーこういう気風の人。

本書のタイトルとなった白州正子との対談が白州正子 「おとこ友達との会話」(新潮文庫)で読むことができます。興味のある方は是非合わせてお読みください。

大川慎太郎 「不屈の棋士」、橋本崇載 「棋士の一分」

棋士の本を2冊読了。棋士のその「異能」ぶりに興味がある。将棋自体はそれほどでも。。。という人間です。

大川慎太郎 「不屈の棋士」は将棋観戦記者の棋士へのインタビュー集。AI時代に棋士は堂向かうべきかを問うた渾身の1冊。羽生、渡辺から若手棋士まで。質問の主題は全て同じ。だから棋士毎の考え方の違いも理解できる。人工知能への考え方の違いがこんなにくっきり違い、その違いにはグラデーションのようなレベルがある。一気読みです。




橋本崇載 「棋士の一分」は棋士自らが現代の将棋界からAIまで、彼の考え方で満ち溢れている本。三浦問題の張本人の一人と思っていた橋本だったが、本書では事実を語る。衝撃の告白もある。将棋界の未来を憂う棋士魂をひしひしと感じることができる書である。

2冊同時読みがオススメです。




2017年7月23日日曜日

夏目漱石 「それから」 「門」

夏目漱石の「それから」と「門」を読了。


「それから」は高等遊民を自称する主人公の愛の物語。姦通罪があった時代の物語であり、新聞連載されていたことから、かなり衝撃的な扱いを当時は受けていたのであろう。
皆新聞小説を読むのが楽しみだったではないか。

「それから」はラストの都電の中で主人公の心情が強烈。これからの未来と彼の心を表している。このラストは数年ぶりの再読にも関わらず、心に強烈な印象を残している。


一方「門」は「それから」の主人公のその後の意味合いもあるであろう物語。静かに暮らす夫婦の元に様々な過去からの因果が押し寄せる。しかし物語りはその因果との衝突を避ける。ある意味物足りないが、それはそれ
で良いのではないか。

この2作品に先立って「三四郎」がある。「三四郎」を加えて三部作となる。村上春樹「海辺のカフカ」でカフカ少年が四国の図書館で漱石を読み直していたので、読者であるこちらも再読。次は当然「三四郎」を再読です。

 

2017年7月16日日曜日

村上龍 「限りなく透明に近いブルー」


 村上龍 「限りなく透明に近いブルー」を読了。随分前に読んだきりの数十年ぶりの再読。

読書に限らず、読んだときには判らなかったことがらが、判ったり、複数の事柄が繋がったりすることがあります。それが再読や再聴の醍醐味。たぶん1回目読んだのが中学生や高校生で本書に登場する音楽などその当時はほとんどわからなかっただろうが、今回の再読では理解できた。ドアーズやストーンズはもちろん、イッツ・ア・ビューティフル・ディなんかも解るようになったぐらい、年をとったことも判る。

この点が解ると村上のデビュー作も以前よりは理解できるのかもしれないが、その初期衝動をおなじぐらい感じることができたのかは疑問。青春のその心持は今はない。

でもラストのシーンは心に残り続けている。



2017年7月9日日曜日

夏目漱石 「行人」

夏目漱石 「行人」を読了。明治期の知識人の苦悩を表す。「私以外はみんなバカだ」。簡単に言うとそういうことであるが、みんなバカと突き放せずにいるところが人間らしくてよろし。


でも、「私以外はみんなバカだ」という思いは現代人も持っている人が多いのではないかと思う。自分でそう思っている人は一読オススメします。あなたのその思いは明治からある、普通の思いであることが理解できます。


勉強や読書のこのような「毒」は毒として、受け入れなければなりませんが、自分なりの解毒剤が必要ですね。


嫂との関係、一郎のその後等気になることは沢山ありますが、これはこれでよいのでしょう。数年後再読必要です。


先週読んだ虞美人草とは作風が違う文豪の作品でした。 

2017年7月2日日曜日

夏目漱石 「虞美人草」


夏目漱石 「虞美人草」を読了。漱石が職業作家になってからの第一作。朝日新聞に連載された新聞小説です。
100年前の恋愛劇、当時のトレンディードラマの様相でとても楽しい読書時間でした。しかしながら物語の流れ以外に漱石の解説が入る。これがつまらないと思う読者には辛いのかもしれないが、この解説に沢山の名言が散りばめられている。これが凄い。流石名文家漱石。作家志望の人間を奈落の底に落とす才能の違いを見せ付けてくれます。
また、数年後再読します。
作者の作品の中ではメジャーではありませんが、パワーを感じる作品であります。

2017年6月29日木曜日

鈴木伸元 「加害者家族」




鈴木伸元 「加害者家族」を読了。
ちょっとのことで、我々も犯罪加害者家族になる可能性がある。
それはもう神様の匙加減でしかないことを本書を読むことで理解できる。
本書の衝撃は我々も本書の主人公になる可能性があるだけでなく、アメリカのアーカンソー州の高校での銃乱射事件の加害者家族の事例である。日本では社会から村八分から村十分の扱いをうけるのが普通であるが、加害者家族が受けたのは激励であったという。驚愕の事実である。日本ではネット社会でプライバシーの隅の隅まで暴かれて、抹殺されるのが普通であるのに、アメリカでは加害者家族を激励する論調しかないという。民度という言葉は嫌な言葉だが、この言葉がアメリカと日本の違いを表すには最適である。その民度を構成しているのは我々一人であることに違いは無い。


2017年6月25日日曜日

夏目漱石 「抗夫」




夏目漱石 「抗夫」を読了。村上春樹の「海辺のカフカ」に出てきたときから読みたいと思い、今回初めての読了。海辺のカフカにもありましたが、夏目作品で「評判のよくないものの一つ」です。でも面白く読み進めることができました。主人公の意識が作品上に埋め尽くされています。とめどなくでてくる主人公の自我。これはこれで19歳の青春の青さも感じることができて良い。後半の安さんもいい味がでている。これはこれでよかったですよ。次は「虞美人草」ですね。




2017年6月18日日曜日

村上春樹 「国境の南、太陽の西」


村上春樹 「国境の南、太陽の西」を読了。
所謂、「あっちの世界」が出てこない物語。でも少しメタファー的には出ているのかも。バブル真っ最中の日本を舞台とした物語。話もなんかゴージャスなカオリ。現代物です。
「あっちの世界」が無いだけで(感じさせないだけで)、これほどまでに感覚が変わるものなのでしょうか、ぐらいの変化がある。wikiで見ると、「ねじまき鳥~」にあった、取り除いた3つの章を元にできた物語。
ラストのタクシーに乗っている女性の描写が怖かった。。。

2017年6月10日土曜日

トージ・コージ! 〜発酵文化人類学出版ツアー in 秋田

今日は秋田市民市場でのトージ・コウジのイベントに参加。新政の杜氏、古関さんと発酵デザイナー小倉ヒラクさんのトークイベント。これがまた非常に面白く、好奇心を掻き立てられました。特に麹菌の話は最高に面白く、納得の内容でした。そしてお二人のトークが素晴らしい。イイ感じというか、非常に判りやすい話で、こちらも興味深く聴けました。行ってよかった。
超個人的には、発酵デザイナーの小倉さんは小生と名前が同じ。著書を購入した際に聞いたのだが漢字も一緒。イベント中、ヒラク君、ヒラク君と言われて、学生時代も同名さんが居なかったので、ヒラク君と呼ばれるたびに、ビクンビクンとしていました。なんか50近くなっても新しい発見ってあるんだな、と思った次第。
帰りは新政を求めて、まるひこ酒店へ。新政品切れで、ガックリ。
でも最高のイベントに参加できて幸せな一時でした。



これは今日買った本。作者のサインと同じ名前を書いてもらいました。



村上春樹 「スプートニクの恋人」


村上春樹 「スプートニクの恋人」を再読。
「本当の物語にはこっち側とあっち側を結びつけるための、呪術的な洗練が必要とされる」(p26)とあるように、呪術的な洗練を感じさせる物語。他の長編ではあっち側の物語も丁寧に描かれているが、本作品には「あっち側」の記述はない。「あっち側」の世界観は村上の中にはあるが、読者には提示されない。そして本作品は「ありそうな話」として、寓話ではない物語を体験できる。
これはこれで面白かったし、村上作品の肝を感じることもできたことは嬉しい。

村上春樹 「海辺のカフカ」



村上春樹 「海辺のカフカ」を再読。田村カフカ君15歳の物語。結論は無いし、物語の構成要素の詳細も明かされない。ただ読者はカフカ君の現実の世界と非現実の世界を彷徨う。そこにはナカタさんの世界も重なるが、両者は交わらない。一部に佐伯さん、ホシノさん、大島さんの兄もその非現実の世界に登場するが、お互いには交わらない。
何か人生のメタファーのようです。世界は図書館の壁にかかってあった絵のようなものなのでしょう。そこが世界で、まるで自分の周り(現実も非現実もまとめて)が一枚の絵に表されているようなもの。絵の中心に描かれている主人公はいつの間にか自分になっているように、世界は自分中心でしか見ることのできないものなのかもしれません。
この村上の作った世界観にはすぐドップリつかることが出来ました。長編なので一気読みは難しいですが、ページをめくり始めた瞬間からすぐ物語の世界に入いることができます。
オモシロい物語でした。
今回は物語に出てきたクラッシク音楽を購入。ベートーベンとシューベルト。まだ到着してませんが、ホシノさんや大島さんの気持ちになれるか、試してみるのが楽しみです。

2017年5月28日日曜日

村上春樹 「TVピープル」を読む


村上春樹 「TVピープル」を読了。短編集。「加納クレタ」なんていうタイトルもあり、興味深い。「我らの時代のフォークロア」なんかノンフィクションとフィクションの境目なんていう作品でオモシロい。「眠り」もオモシロかった。amazonのレビュー読むと批判も多い短編集ですが、読者が村上に求めるものが違うからでしょう。昔の作風が個人的には肌に合います。だから本作品も面白く読めました。

2017年5月27日土曜日

ジェシ・エド・デイヴィス 「キープ・ミー・カミン」


JESS ED DAVIS 「KEEP ME COMIN」です。1973年のソロ3rdアルバムです。まずはジャケットがカッコイイ。ジャケ買いしてしまいます。また中身も良いです。ロッキンな彼のギターが十二分に堪能できます。ボーカルの素朴さとの落差が良いのです。
本当にギターがかっこいい。ロック魂十分です。
個人的にはこのアルバムがJESSの最高傑作だと思います。ロック者の心を打ちます。最高の作品。ギター・レジェンド・シリーズの1枚。1000円で購入できます。期間限定。また再発を待つ可能性が大なので、興味のある方は今のうちに入手をオススメします。

ボズ・スキャッグス 「ボズ・スキャッグス&デュアン・オールマン」


BOZ SCAGGSの1STアルバムです。1969年の名品。デュアン・オールマンとマッスル・ショールズ・サウンド・スタジオにて生み出された珠玉の作品。ブルー・アイド・ソウルの傑作です。ブルースやカントリーまでも取り込んだサウンドは休日の昼下がりに最適です。心のバカンス。心が休まります。

その後AORの皇帝のようになるBOZですが、こういった世界観を持っていることを知るのも重要。良い作品に出会えました。

村上春樹 「レキシントンの幽霊」


村上春樹 「レキシントンの幽霊」を読了。「蛍・納屋を焼く」を読んだ勢いで読了。「沈黙」が心に残る。「七番目の男」は怖い。3.11では同じ体験をした方が多くいたと思う。物語のラストが救済となっている。「めくらやなぎと、眠る女」は「蛍・納屋を焼く」からスリムになり、鋭角となったストーリーが良い。
村上春樹の中では、彼の世界が存在していて、彼の物語はその世界の中での出来事のような気がする。現実と想像の世界のちょうど交わっているところで、様々な物語られている日常が日常で存在しているようだ。
その世界を少しでも感じたいのが読者というものであろう。

星野源 「そして生活はつづく」


青春は楽しいけど、恥ずかしい。青春はまったく恥ずかしさでいっぱいだ。その恥ずかしさは膨れに膨れ上がった自意識によるところが大きい。
その恥ずかしさを、恥ずかしがらずにチョット出したのが、本作品です。星野源という「男」を見直しました。いいですね。その感覚自分もつい最近まで持っていました。その感覚とは、膨れあがた自意識です。明日明日50になるところで、ちょっと抜け出せたような気がします。
みんなそうなんだから、みんな大丈夫だよ。あなただけではないのだから。
そんな作者が意図していない、青春の応援歌。大人になれない、大多数の男に星野から贈られた応援歌が本作品です。最高です。

村上春樹 「蛍・納屋を焼く・その他短編」



村上春樹 「蛍・納屋を焼く・その他短編」を読了。村上春樹の「昭和」時代の短編集。これはオモシロかった。特に「蛍」「納屋を焼く」「踊る小人」「めくらやなぎと眠る女」は最高です。(ほとんど全部)
彼の作品は特に初期が自分の心にシックリきます。何故か判らないが、心にストンと落ちるというか、情景が思い浮かび、シックリとします。最近の作品でもそのようなことはありますが、初期作品群にはこういった感想を持つことが多いです。
しばらく、読み返してみようと思いました。


2017年5月21日日曜日

チョット古い小論を読む。これが面白い


最近、チョット昔のエッセイというか、社会を論じた文章を読むのが好きです。私が高校生から大学生の時期に読んだこのような書の文章が自分の人格形成に凄く影響を与えていることがハッキリ理解することができます。「自分のあの考えは、ここが出典だったのか」と愕然とすることも多いですね。これまでの人生を振り返る意味でも、また現代社会との関係を知る意味でも、これらの社会事象をい扱った書を読むことは、非常に面白く、興味深いことです。

で1冊目は、藤原新也 「幻世(まぼろよ)」です。1987年に単行本で出版された本。手元にあるのは1990年の文庫版。正に大学時代。藤原はこの時代のある種こわもてのヒーローでした。彼の文章はすんなりと自分に入ってきました。本書を読み返して思うのは、時代は変わったけど、人間はなかなか変われないものだな、ということ。文章中の風俗や小間物を現代に置き換えると、そのまま現代論になります。カメラマンとして、その表層だけでなく、物事の奥まで視線がとどいているからでしょう。硬派な文章をお求めであれば、本書は最高ものになります。





合わせて本書もオススメです。呉智英 「サルの正義」です。こちらは1993年単行本、1996年文庫化されたものです。これもまた面白い。上記作品との併読をオススメします。

大島一洋 「芸術とスキャンダルの間」


大島一洋 「芸術とスキャンダルの間」を読了。

芸術作品というのは不思議な存在です。絶対的な価値があるわけではありません。無名画家の絵がオークションで1万円の予定価格であったが、あるとき有名画家の作品とわかり、一気に6千6百万円になってしまったことがありました。絵の価値では1万円でも、有名画家という要素で6千6百万円になるのです。

絵画自体の絶対価値なんて存在しないのです。時代や作者やその物語によって、絵画は絵画の持つ価値(そんなものはないけども)以上の価値をもつのです。ということは、贋作やニセモノは絵画の価値が絵画にないことから、その行為が罪になるのです。その表現自体に価値があれば、本物もニセモノもかわりありません。

そいうった芸術作品だから、「スキャンダル」とはいつも背中合わせなのであろう。興味深い事件とそこに連なる物語が楽しめる。面白い事件集。


芸術の価値は個人的に認めています。ボーナスが入れば、手の届く範囲で絵画を購入しています。ほとんど無名画家の作品ですが、個人的興味にはまれば、値段と相談して購入しています。国宝級とか数百万円なんて手に届きませんが、芸術作品は近くに置きたい魅力があります。
そんな魅力が人間を惑わせるのでしょう。

2017年5月15日月曜日

仙台国際ハーフマラソン2017年を走る

昨日は仙台国際ハーフマラソンに出場してきました。会社がスポンサーなので、仕事みたいなものです。。。


当日は雨。仙台国際が市民マラソンとなってから、全部出場していますが、雨は初めて。スタートを待つ恒例の待機時間で、体が完全に冷えきりました。
それでも、前半はがんばりましたが、後半はジョグペース。結果、1時間53分くらいでのゴールとなりました。


これで、山田記念と仙台国際、2戦続けて雨降りです。昔は晴れ男なんていわれていましたが、年と共に効力が無くなったのかも。


次は9月の秋田100km。今回の仙台国際では昨年の秋田100kmのTシャツを着て参加しました。走っているときに反応してくれたランナーは1人。今年も出場なさるそうですので、頑張りましょうと言って、先に行ってしまいました。


毎年の恒例行事なので、まずは無事で良かった。

2017年5月7日日曜日

GWのランニング結果

GWのランニング結果


4月29日(土) 21km(山田記念ハーフマラソン)
4月30日(日)  0km
5月 1日(月) 12km
5月 2日(火) 24km
5月 3日(水)  0km
5月 4日(木) 30km
5月 5日(金)  0km
5月 6日(土)  0km
5月 7日(日) 10km


合計:97km


100km目標だったけど、まあ良しとしますか。

BOOWY 「JUST A HERO」





BOOWY 「JUST A HERO」です。1986年の4枚目。ヨーロッパの排他的な雰囲気もまとった、アルバム。パンクから上手く進化したアルバムですね。彼らの最高傑作の呼び声も高いアルバムです。なにせ、曲が良い。捨て曲が無いところが良い。これだけ音楽性を広げられたら、次作での日本征服も、さもありなんといったところ。良い作品です。シングル・ヒットに目が向きがちな彼らですが、アルバム全体の完成度では本作品がイチバンでしょう。

2017年5月6日土曜日

村上春樹/安西水丸 「村上朝日堂」




村上春樹/安西水丸 「村上朝日堂」を読了。村上春樹の初のエッセイ集。安西水丸が絵を担当。日刊アルバイトニュースでの連載(1年分)をまとめたもの。昭和の時代のお話。でも現代でも十分通じる事柄が沢山あります。30代前半の彼の生き方が良くわかります。自分の蔵書は昭和62年2月のもの。高校時代に読んだのだな。結構このエッセイに感化されている自分がいたことに気付きました。自分を形つくっている一つの要素ですね。もう一回読むことあるかな。また10年以上たってから再読したいな。村上がノーベル賞とったあたりでも良いかもしれません。10年かからないかもしれませんね。



2017年5月5日金曜日

ザ・クラッシュ 「シングルス」


THE CLASH 「THE SINGLES」です。彼らのシングル集。1977が入っていないのが残念。でも彼らの歴史を手っ取り早く知ることができます。初期の血管ぶち切れナンバーから後期のダブやレゲエにまで影響を受けた彼らの音楽家としての誇りを知ることができます。パンクロッカーのクラッシュを知ろうとして、本作品を手にとってはいけません。血潮溢れるパンクナンバーをご所望の方は1枚目と2枚目のオリジナルアルバムからが良いでしょう。その後彼らの変遷を「LONDON CALLING」から体験していくのが良いでしょう。本作品は彼らの変遷を一直線に経験できる利点もあります。あのTVCMで流れていた曲も入っているので、その点ではお得です。しかしオリジナルから聴いたほうが良いよ。



エアロスミス 「パンプ」




AEROSMITH 「PUMP」です。1989年の傑作アルバムです。本作品のツアーに参戦したのも良い思いでです。RUN DMCが彼らの「WALK THIS WAY」をサンプリング??した楽曲が大ヒットし、
前作の「PERMANENT VACATION」で復活した後の作品。当然油も乗ってきているし、雰囲気も良い中で制作されたことが判る名作です。すべての楽曲が「PUMP」というアルバムで一体感を持ち、これぞ、アメリカン・ハードロックといった宣言が音から伝わってきます。この後が「GET THE GRIP」です。これもいいけど、やはり「PUMP」派な私なのでした。

2017年5月3日水曜日

ザ・エクスプロイテッド 「パンクス・ノット・デッド」



THE EXPLOITED 「PUNKS NOT DEAD」です。1981年のあまりにも有名な宣言。パンクというより現在はハードコアの始祖のような立ち居地です。内容はあまりにも熱く、心の奥底に伝わってくるハードコア魂があります。1981年というとロンドンオリジナルパンクの嵐がやみ、PUNK IS DEADと言われ始めていた時期に、UKハードコアの旗手として高らかにアルバムタイトルを宣言した彼らでした。それだけで心揺さぶられます。ボーカルのワッティーの訛りのある英語にも地方出身者として共感できます。まさにPUNKS NOT DEAD!!

2017年5月1日月曜日

COUNT BUFFALO&HIS ROCK BAND 「SOUL LIMBO / THE SIDEWINDER」


COUNT BUFFALO&HIS ROCK BAND 「SOUL LIMBO / THE SIDEWINDER」7インチです。2017年の Record Store Day にて購入。ジャパニーズ・フリー・ジャズが好きで、ニューロックが好きなら触手が伸びてしまう一枚。ジャケットも最高の7インチ。THE SIDEWINDERが熱くて好きです。

ジャパニーズ・フリー・ジャズもニューロックも足を踏み入れると、とことん深く潜行してしまう、魔の領域です。でも少しずつ聴いていきましょう。人生は長い。(でも短い)

ジョン・メレンキャンプ 「WHENEVER WE WANTED」



JOHN MELLENCAMP 「WHENEVER WE WANTED」です。1991年の作品。1曲目からカッコイイリフで幕開けです。ラストのホーンも気分を盛り上げる感じで入ってきます。80年代からのヒットチャートを賑わすだけのアーティスト活動の疲労を抜く為、休養&絵画制作に打ち込んでいた後の復帰作。アメリカンロックの醍醐味を伝えてくれる名作ですね。でも評価は低いみたい。80年代の彼の幻想を引きずっているのでしょうね。現代のアメリカンロックを提示してくれる彼みたいなロッカーは貴重だと思うのですが。そしてこんな作品も貴重なのでは、と思ってしまいます。
中古レンタル落ちで2枚で100円で購入した片割れ。最高のロックンロールを味合わせてくれました。

ブラック・ジョー・ルイス&ザ・ハニーベアーズ 「スキャンダラス」


Black Joe Lewis & the Honeybears 「Scandalous」です。黒いロック。ガレージ・ソウルと言われている彼らの2ndアルバム。凄くいいです。テンション高いソウル・ロック。熱いです。こういった音楽探していました。ジャケットもピッタリな傑作ですね。素晴らしい。このような脳の血管ブチ切れるソウル・ロックンロールって聴いてるだけで、熱い血潮が沸き立ちます。ロックの初期衝動。あなたも体験してみましょう。最高のロックンロール。