作家、尾崎翠の名を知ったのは以前、NHKの田中裕子主演ドラマでした。記憶はバッチリあるのですが、ネットで調べると1992年1月15日のドラマ「29歳・おもかげを風にあたえよ」でした。ちょうど大学を卒業する前年。いろいろ苦渋に満ちていた生活をしていた頃です。時間帯も23:20~24:50という「苦渋」が想像できる時間帯に放送していたんですね。
頭の中には、主演の田中裕子の存在感もあり、不思議な印象が残りましたが、実は現代に生きる田中裕子演じる主人公が、尾崎翠の世界、すなわち「第七官界彷徨」の世界に迷い込むというあらすじでした。30年近く前のドラマを少しでも気に留めていられる、それも一回見ただけで、ということは非常に私の頭にインパクトを残したのです。なかなか無いですよね。
尾崎翠の作品は探すと現在もさまざま入手できます。文庫の全集もあります。解説本の類もありますので、興味があれば読んでみることをオススメします。彼女の不思議な世界観。きっと彼女しか見えない世界があったのかと想像できます。まさに「第七官界」です。その幻想的な世界感は現代でも十分に通用するものです。
気になる異性が「好きなものは「尾崎翠」と「キング・クリムゾン」です」なんて自己紹介されたら、きっと好きになってしまいます。
クリムゾンと肩を並べるくらい、そのイメージは強烈ですよ。
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