西村寿行「蒼茫の大地、滅ぶ」です。1978年に単行本で出版されましたが、当方が手に取ったのは2013年に仙台の出版社、荒蝦夷から出版された版です。東北の大震災とリンクする内容なので、長らく絶版であった本書を仙台の出版社が復刻することの意味は大きいでしょう。
本書は東北独立がテーマとなっている。長く日本人の心の中にある東北差別。震災で明らかになった原発の問題といい、その差別されている東北の独立の可能性を自然災害とからめた異色サスペンス長編です。手に汗握る展開であっというまに読み終えてしまいます。
現実感にあふれた設定なので、この震災後の東北の展開を考える上でも重要な作品だと思います。こういう地域ナショナリズム的な作品には弱いです。東北人としての誇りと東北人の劣等感が入り混じり、極端な方向へ振れやすいからです。私も確実に読んでいて、極端なほうに振れました。
東北の歴史を再確認する機会となる書に出会いました。今度は本書にも出てきた、奥羽越列藩同盟について探求してみたいと思います。
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