2017年6月10日土曜日

村上春樹 「スプートニクの恋人」


村上春樹 「スプートニクの恋人」を再読。
「本当の物語にはこっち側とあっち側を結びつけるための、呪術的な洗練が必要とされる」(p26)とあるように、呪術的な洗練を感じさせる物語。他の長編ではあっち側の物語も丁寧に描かれているが、本作品には「あっち側」の記述はない。「あっち側」の世界観は村上の中にはあるが、読者には提示されない。そして本作品は「ありそうな話」として、寓話ではない物語を体験できる。
これはこれで面白かったし、村上作品の肝を感じることもできたことは嬉しい。

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