2016年12月30日金曜日

中森明菜「BEST」


中森明菜「BEST」。昨日、東山彰良の「流」を読んでいたら、中森の「セカンドラブ」が作中で使われていたので、懐かしく聞きたくなりました。仙台時代中古レコード屋でLP入手した一枚。セカンドラブもモチロンいいけど、その他の曲も懐かしさもあり良い曲ぞろいです。昭和歌謡なのかもしれませんが、思い出とともに存在しているので、強いです。また引っ張り出す時がくるんだろうな。

1.スローモーション
2. セカンド・ラブ
3. トワイライトー夕暮れ便り-
4. 北ウイング
5. サザン・ウインド
6. SAND BEIGE-砂漠へ-
7. SOLITUDE
8. ミ・アモーレ
9. 飾りじゃないのよ涙は
10. 十戒(1984)
11. 禁区
12. 1/2の神話
13. 少女A


志賀直哉 「小僧の神様 他十編」



志賀直哉 「小僧の神様 他十編」を読了。教科書の人かと思ったら大違い。傑作短編集でした。教科書でおなじみの「小僧の神様」「城の崎にて」などは大人になってから読むのがよろしいかと。大人の哀愁や死への感覚等、子供じゃわかりません。なんといっても読了感が充実する作品ばかりで満足感が大きい。再読に耐えうる古典文学です。

2016年12月29日木曜日

東山彰良 「流」


東山彰良 「流」を読了。第153回直木賞受賞作。こういった話題性のあるエンタメ小説は、少し温めてから読むのがよろし。
一気読みの疾走感は流石、と言わざるを得ない作者の力量でありましょう。ただ大げさな宣伝文句や評判で読んでみたが、出来が良い青春小説ですね。直木賞は良いですけど、「二十年に一度の傑作!」とか「これほど幸せな読書は何年ぶりだ?」なんかは言い過ぎの感があります。
中国と台湾。歴史的な事実を理解、それだけではなく体感的に理解していないと本作品の本質には触れられないのかも知れない。そこを理解できなくても楽しめるのは、なにはともあれ、作者の力が成せる技なのです。
楽しく読めました。いい小説です。周りの宣伝がよろしくないだけですね。
ラストの一行。この時代を知っている人間の本当の言葉と、作者に対して良い印象を持ったことは書かなくてはならない。

2016年12月10日土曜日

松本清張 「砂の器」/野村芳太郎 「砂の器」





松本清張「砂の器」を読了。松本清張の代表作であり、タイトルは有名な本作品、再読でしたが、中古で上下巻を入手し読む。仕事で秋田県由利本荘市亀田にいき、真田丸で盛り上がっている地元のガイドに本作品のロケ地も教えてもらい、興味を持ったため、再読。あまりにも都合が良すぎるのでは??という箇所も多く、細かい点では不満もあったが、大きな物語としては面白く読めた。再読や映画を観ていたため、犯人は知っていたが、初めて手に取ると、犯人が別人で驚くのではないか。その違いも作品の魅力になっています。昭和を代表するミステリですので、あまり細かいところは気にせずに様々な場面の解説を楽しみながら読み進めるのがよろしい。よい読書時間でした。

で原作を読んだら、名作の誉れ高い映画も観ないと、ということでDVD bookを中古で安価に購入して観る事に。原作のエピソードを削りに削って、シンプルにしたシナリオの力量には敬服します。映画版ではミステリというよりは、人情物の側面が大きい。親子の放浪に焦点を当て、感動作に仕上げている。これはこれで面白いし不覚にも涙してしまった。断片的な画面の記憶があるが、このように一気に観たことがなかったのかもしれない。面白い映画であることは確かである。そしてやっぱり名作なのであろう。面白かった。






2016年11月24日木曜日

THE TIMERS 「ザ・タイマーズ スペシャルエディション」

【早期購入特典あり】THE TIMERS スペシャル・エディション(2CD+DVD)(特典;特製ピックケース+ピック)

THE TIMERSスペシャルエディションを購入。目的はDVDで30年前のライブ映像を観ることである。

当時(1988年)の横浜国大でのライブは、地方から上京してきた18歳の心を打ち砕くのには十分な破壊力であった。ボ・ガンボス,山口富士夫ティアドロップス、泉谷しげるwithLOOSERというラインナップでのライブは会場となった、大学の野外音楽堂を熱狂の渦に巻き込んだ。トリの泉谷の前に登場したタイマーズは、覆面バンドという情報であったが、既にそのころには、清志郎のバンドということは明らかであった。

あとは本作品のDVDで確認してほしい。曲なんか何にも知らない観客の熱狂ぶりを。ライブ中止になるくらいのパワーを。本当は収録されていない、いや収録することのできない曲こそタイマーズのタイマーズたる所以であり、今思い出しても、パンクの生まれる瞬間を目撃できた興奮でいっぱいである。

「原発賛成音頭」から「ロックン仁義」の流れは30年の時を超え、まざまざと中年の脳裏に浮かんできた。心が熱く震えたことを告白しなければならない。

この時代、携帯電話もインターネットもなく、情報は紙媒体や口コミしかなかった。だからこそ、タイマーズが本当に登場し、過激な歌詞で歌い始めたときの衝動はもう我々は体験することができないかもしれない。ロックの初期衝動を感じることは不可能なのかもしれない。そう考えると、この経験は本当に貴重だったのかもしれない。

その空気感を荒れた画像で見返すとき、その心の震えの手応えは頭に残っているので、まだ手にとることができる。

そんなことを思い出させてくれた本当の意味での「スペシャル・エディション」であった。


リマスターされた音源もゆっくりと聴こう。酒でも飲みながら、歌いながら。


2016年11月20日日曜日

ロバート・B・パーカー 「初秋」

初秋
ロバート・B・パーカーのスペンサーシリーズの名作といわれる「初秋」を読了。その前に「レイチェル・ウォレスを探せ」もあわせて読了しましたが、今回は初秋の話。
今となってはミステリも好きであると公言できますが、以前は全くの門外漢。村上龍のエッセイで「初秋」「レイチェル・ウォレスを探せ」の両書が推薦されていたので、高校卒業あたりで読んだのが初。今回30年近くたってからの再読。

マチズモ満載の本作品ですが、男の生き方の一つを現していることは確か。ここまで宣言しなくても、心の底で考えている人間は多いのかもしれません。考えの部分で共感できるところが多数。一つ男なら手にとって見ても良い作品かもしれません。私はオススメいたします。



2016年11月19日土曜日

西村寿行 「蒼茫の大地、滅ぶ」(荒蝦夷)

蒼茫の大地、滅ぶ

西村寿行「蒼茫の大地、滅ぶ」です。1978年に単行本で出版されましたが、当方が手に取ったのは2013年に仙台の出版社、荒蝦夷から出版された版です。東北の大震災とリンクする内容なので、長らく絶版であった本書を仙台の出版社が復刻することの意味は大きいでしょう。

本書は東北独立がテーマとなっている。長く日本人の心の中にある東北差別。震災で明らかになった原発の問題といい、その差別されている東北の独立の可能性を自然災害とからめた異色サスペンス長編です。手に汗握る展開であっというまに読み終えてしまいます。

現実感にあふれた設定なので、この震災後の東北の展開を考える上でも重要な作品だと思います。こういう地域ナショナリズム的な作品には弱いです。東北人としての誇りと東北人の劣等感が入り混じり、極端な方向へ振れやすいからです。私も確実に読んでいて、極端なほうに振れました。

東北の歴史を再確認する機会となる書に出会いました。今度は本書にも出てきた、奥羽越列藩同盟について探求してみたいと思います。

2016年11月5日土曜日

秋田フォーラス「シネマパレ」で今敏監督「千年女優」を観る


今敏監督「千年女優」を秋田フォーラスのシネマパレで観る。2002年の作品。
女優の現在と過去そして作品の中とめまぐるしく場面が変化するが、構成がしっかりしているので、ちゃんとついていける。ちゃんとついていけるのが不思議。矛盾もあるだろうが、気にならない。なぜならスピード感がすごくて、少しの矛盾を跳ね飛ばすくらいの力がある。
すごい作品でした。ラストの主人公のセリフも大人味でよろしい。

でもこの作品は映画館でみるべき。大画面と大音量で作品をしっかり受け止めることができます。そしてシネマパレはフィルムなのです。フィルムの質感もよかったです。

秋田フォーラスの改修に伴い、シネマパレは来年2月で閉館。秋田ではこの映画館でしか映画を観ていません。雰囲気といい、最高の劇場です。2月まで、いっぱいシネマパレで映画を見ようと決意を新たにしました。


2016年10月10日月曜日

田中美穂「わたしの小さな古本屋」

田中美穂「わたしの小さな古本屋」を読了。岡山で小さな古本屋を営む女性店主のエッセイ。簡素な文章で好感が持てる。お店の名前は「蟲文庫」。風の谷のナウシカの蟲(オーム)みたいですね。なかなかこういうようには上手くいかないのかもしれませんが、生きてる楽しみが垣間見れて、良い読書時間でした。こういう書を良書というのですね。

大崎善生編「棋士という人生」

大崎善生編「棋士という人生」を読了。
将棋にまつわる短編集。様々な人物の短編が集められています。

しかし、私の求めるのはこういったものではない。棋士という異能の人間達の思考や生き方を知りたいのです。彼らが何を考え、生きているかを知りたいのです。本書でも少しは体験できますが、その絶対量は少なく、足りない。残念です。



2016年10月2日日曜日

羽海野チカ 「3月のライオン」12巻



羽海野チカ 「3月のライオン」12巻を読了。1ページにさまざまな情報があって、濃いですね。本書は将棋マンガと捉えるか、青春恋愛ギャグマンガとして捉えるかで読み手のイメージや感想が変わります。私は「ハチクロ」時代から作者の描く世界観は後者だと思っているので、本作品の出来は良いと考えます。楽しいマンガじゃないですか。良い作品です。

2016年10月1日土曜日

「子連れ狼 冥府魔道」



「子連れ狼 冥府魔道」を秋田フォーラス8階の映画館、週末名画座「シネマパレ」で鑑賞。前回のアメリカの夜に続いての鑑賞。1000円で観ることができた。
1973年の若山富三郎先生の名作ですね。ハードボイルドタッチの作品で引き込まれました。この時代の邦画には有無を言わさぬ力がありますね。引き込まれました。でも若山先生、もう少しお痩せになったらば良かったのに。痩せたほうが迫力あったかも。しかし先生、川での戦いよかったですよ。キテレツな部分も沢山あったけど・・・・
終盤、「キレ」といった秘密を抱える若君のセリフは緊迫したな。そこからの殺陣大会、若山先生大活躍。ラストの刹那さや残酷といった意見もあろうかと思うけど、プロの仕事ですから。依頼に100%応えたのです。
力のある良い作品をフィルムで見ることができ、しあわせでしたよ。

2016年9月30日金曜日

第26回秋田内陸リゾートカップ 100kmチャレンジマラソン

今週の日曜日というのか、9月25日(日)に秋田で100kmマラソン (ウルトラマラソン)に出た。完走はならず、90kmで足切り(12時間くらい)で終了した。しかしながら、90kmといえども、いつでも走れる距離ではないので、ありがたい経験とはなった。
次回のウルトラマラソン挑戦の為に、終わった後の体の変化について記録しておく。


・9/25(当  日)→収容バスでゴール地点まで運ばれたあと、着替えて駐車場へ。
                          駐車場のトイレで大量の黒い便を排出。びっくり。デトックスか。自宅へ到着し、
                          シャワー(温)を浴びた後、ひどい寒け。歯の根が合わず、ガチガチ、ブルブル。
                          体の恒常機能が失われたようだ。
・9/26(1日目)→酷い筋肉痛
・9/27(2日目)→酷い筋肉痛。左足首痛始まる
・9/28(3日目)→筋肉痛なし。左足首痛最高潮。心配になる。
・9/29(4日目)→両足首の腫れのみ。左足首痛は消滅。
・9/30(5日目)→足首の腫れのみ


一週間で目まぐるしく変わる症状。なんか面白い経験。人体の不思議を感じた。
来年リベンジ。

2016年9月24日土曜日

三浦隆敏 「真贋ものがたり」

三浦隆敏「真贋ものがたり」です。「真贋」興味あります。
小林秀雄や青山二郎の著作を読んでいると「真贋」の精神的な意味合いを理解できますが、本書は真贋の現実的な側面を見せてくれます。
まあ参考になったくらいの感覚で読み薦めるのが良いでしょう。
真贋はつまるところ、精神的・感覚的な領域であるということが逆説的に理解できました。


木村友祐 「海猫ツリーハウス





















木村友祐のデビュー作「海猫ツリーハウス」です。青森県八戸の物語。八戸出身の作者が八戸の物語を南部弁で描いた作です。震災前後に秀作(いまだ未読)を発表している作者との初対面です。

田舎の都市でくすぶっていたり、イラついていたり、あきらめていたりしている若者たちの物語。どうしようもない感情が南部弁により、強調される。誰でも通過してきただろう道であり、これから誰もが通過するであろう道でもある。

通過済みであろうがなかろうが、この感情はしっていたほうが良い。また知っている人は思いおこしたほうが良い。なぜなら活きる為に必要な感情だと思うから。

2016年9月17日土曜日

「アメリカの夜」を見る


秋田に来て6ヶ月。初めて秋田の映画館に行きました。秋田駅前フォーラス最上階にある名画座「シネマパレ」です。週末しか上映しない映画館。いい雰囲気。イスなんか座り心地悪くてもいいもんね。お客さんも自分を入れて4人しかいないほうがいいもんね。名画座らしい名画座。秋田に在ってくれてありがとう。

フランソワ・トリュフォーの作品。1973年の作品ですからもう四十年以上前の作品です。名画との評判高い作品です。やはり名画といわれる力を持った作品でした。なにしろ登場人物が全て愛おしい。すべての登場人物が愛おしく感じる映画はそうないんではないか。バックグランドも説明もあまりないのですが、映画の中の映画で生き生きと動き回っている。その生き生き具合が非常に素晴らしい。登場する女性は全て最高の人たちです。すべての人が魅力的。上手いな、トリュフォーといった感じです。

良い映画観させて頂きました。これからも通いますよ、「シネマパレ」


2016年9月10日土曜日

今日のBGM「UKロックで攻めてみました」



Ten New Messages     
THE RAKES「TEN NEW MESSAGES」(2007)













Learning to Let Go


TERRIS「LEARNING TO LET GO」(2001)




どちらも今は無き、仙台のHMVでのバーゲン品。所謂ジャケ買いでした






ギャビン・ライアル 「深夜プラス1」


ギャビン・ライアル「深夜プラス1」を読了。冒険小説の最高峰との呼び声も高い作品。自分も再読でしたが、一気読みです。なにせ、登場人物たちの個性が光っているところが良いです。みんな一癖ある人物ですが、読み進めていくうちにみんな好きになっていきます。読み進めていく時間と物語を愛する度合いが深まる好著です。
みんな完璧なヒーローじゃない。みんな弱さを内に秘めている。人間らしい冒険小説。その弱さを克服、弱さを曝け出す、弱さを隠す・・・人間の生き様ですね。


原題「midnight plus one」ラストで光る原題です」。

2016年8月28日日曜日

DEEP PURPLE  「Stormbringer」



ディープ・パープルの第三期の最後のアルバム「嵐の使者です。1974年の作品。本作品はリッチーの心ここに在らず的な感覚で、失敗作として語られることの多い不幸な作品ですが、聞けば判るとおり、良質な作品となっております。ファンキーなグレン・ヒューズとブルージーなデヴィッド・カバーディルの良いところが出ており、個人的にはロックの名盤の1枚であります。良い作品です。本作品後、リッチーはレインボウを結成し新たな地平線を切り開くのでした。


若い頃は第三期パープルといえば「BURN」のような熱い血潮が溢れる曲が好きでしたが、本作品のような様々な音楽フィールドが合体した作品世界に目が行くようになりました。良い作品ですので、聴かず嫌いは勿体無いですよ。

藤原正彦 「遥かなるケンブリッジ」



藤原正彦「遥かなるケンブリッジ」を読了。数学者である作者のケンブリッジ留学記。留学といっても先生として1年間の研究滞在。妻と3人の子供も同行。本書ではその留学記というよりは、イギリス人のものの考え方。アメリカ人や日本人とのものの考え方の違いを作者の実体験から考察している。イギリス人のものの考え方を知るには最良の書でしょう。本書を読んで考えさせられることしきりです。若い人ほど本書から受ける感動は沢山あるでしょう。グローバルな時代に本書が啓示してくれる様々なことは、これから持つ意味が大きくなります。
良い本と巡りあいました。阿川弘之の著作の紹介からの出会いでした。

2016年8月26日金曜日

庄野潤三 「愛撫 静物」



庄野潤三「愛撫 静物」です。作者の初期短編集です。作者晩年の家族小説に心を打たれたので、遡って読み返しています。初期短編は所謂私小説ではなく、物語を創造している、少なくとも実際にあった事柄を参考にするくらいで、想像力と創作力が見て取れます。しかし、本作品集の中で中心となる、中篇「静物」は私小説の緊張感が漲っています。様々な場面が挿入されており、晩年の作風を感じることが出来ますが、密かに組み込まれている緊張感を表す場面では非常に心に寒気をもたらすように作られています。一見幸せに見える家族の仲の緊張感が怖いです。そこを表面をこするだけで表しています。だから余計に寒気が増します。


なかなか面白い作者ではあります。作風の変化を楽しみながら、彼の作品を読み進めていくことが出来ることでしょう。


谷崎潤一郎 「卍」


谷崎潤一郎「卍」を読了。谷崎の性癖全開の物語。本作品は主人公の独白形式となっている。話を聴いている「先生」が谷崎自身なのであろう。

本作品には谷崎の美意識、谷崎の人間観が存分に散りばめられている。関西の上流階級の人々が話す関西弁と同じ人物がその優雅な関西弁を使って行っていることの異常性。その二つがくっきりと対比させられることにより物語の輪郭がくっきりする。

まさに猪木の卍固めのようにこんがらがった人間関係。ラストについてもただの物語に終わらせない、谷崎の想像力に満ち溢れている。性によって人間は破滅する。そのことを根源的に理解している谷崎だからこその物語である。

2016年8月24日水曜日

MISFITS 「Die Die My Darling」



ミスフィッツの1984年の12インチ「Die Die My Darling」です。ジャケットはパスヘッド。メタルファンにはメタリカがカバーしたことで有名な曲です。原曲も疾走感溢れる、パンクスピリッツ十分な曲です。
A面「Die Die My Darling」、B面「We Bite」「Mommy Can I Go Out and Kill Tonight?」の3曲を収録。勢いであっという間のミスフィッツの世界。ホラーパンクです。


ユニクロで彼らのTシャツが500円だったので、思わず購入してしまいました。ロックっぽくないですね。ごめんなさい。

秋田県立美術館 「異界をひらく」展



秋田県立美術館で「異界をひらく」展を観る。上記のポスター左に石田徹也作品が見えたので、これは見に行かなくてはと思い立ち、遅い夏休みを利用して鑑賞。

石田徹也は現在のファンのほとんどと同じ出会いであったと思う。数年前のNHK教育テレビ(Eテレ)にて観た特集で一発でノックアウトされたのである。その作品の独創性、そして作品のすべてから立ち昇る筆舌に尽くしがたい悲しさ、こころの奥底に訴えかけるそのメッセージはその番組を観た人間達に「石田徹也」という人物を知らしめるのには十分であった。

個人的にも画集及び全仕事といった作品を買い求めたし、石田徹也の作品はなるべく観るように心ががけてきた。そして現在の住まいの秋田でも見ることができ、しあわせである。

今回も石田の作品にやられてしまった。見ている自分が絵画の中の人間、その悲しみを湛えた目で見透かされているような感覚。その異次元の絵画世界が異次元ではなく、現実社会でも通じるような感覚。残暑が厳しい中でも、身体がしゅっと冷えたのは、何も館内の冷房だけではないはずである。

秋田県立美術館の目玉、藤田嗣治の「秋田の行事」もいつもどおり心を和ませる。

良い美術館です。

2016年8月23日火曜日

阿川弘之 「大人の見識」



阿川弘之「大人の見識」を読了。本書を読むきっかけは、第1章に武田信玄の遺訓として
 一つ、分別あるものを悪人とみること
 二つ、遠慮あるものを臆病とみること
 三つ、軽躁なるものを勇豪とみること
と紹介していることでした。信玄はこの3つを「主将の陥りやすき三大失陥」としています。まさにこの3点はそのとおり。さすが風林火山の信玄です。こんな直球で攻められたら、読むしかありません。


本書は阿川弘之の戦争感やイギリス人の生き方を中心に人生の「叡智」を大人の見識として紹介しています。特にイギリス人の生き方考えかたには考えさせられる事柄がおおく、本書に紹介されている書についてもあたろうと考えています。
この年になって、なかなか考えさせられる本との出合いも少なくなった私には久しぶりに知的好奇心を掻き立ててくれる書でした。


2016年8月21日日曜日

Pink Floyd 「Division Bell 」


ピンク・フロイドの1994年の作品「対(TSUI)」です。自分の中でフロイドの最高傑作であるとともに、個人的な癒しの音楽。本作品には何回心の底から癒されたことか。

新幹線で移動する際の心の静寂。眠れない夜のお伴とこれだけでなく、本当に様々な面で本作品を聴く機会が多い。今回も自宅で暑い夏の昼間に本作品が流れるだけで、まるで風鈴のような作用を及ぼす。


長尺な作品ですが、まったく飽きることがありません。ギルモアの単音ギターの音色が最高に美しい。精神の根っこに響いてきます。良い作品です。

曲単体ではなく、アルバム全体で一つの作品、1曲との理解。


これからも永遠に聴き続ける個人的マスターピース。

2016年8月20日土曜日

Van Halen 「5150」


ヴァン・ヘイレンの1986年のアルバム「5150」です。個人的にはアメリカン・ハードロックの最高峰。アルバム全体で捨て曲なしの名盤中の名盤です。

しかしながら、ボーカリストが前作「1984」までのデイブ・リー・ロスからサミー・ヘイガーへ本作品から変わっており、その点が不服のファンも多いことでしょう。

しかしながら本作品の音にはサミー・ヘイガーのボーカルが合うのです。キーボード多様などといった批判もあるこの時期のヴァン・ヘイレンですが、これだけ高品質のアメリカン。ハードロックを創り上げたその創作力に脱帽です。

メロディがいい、スピード感もいい。アメリカン・ハードロックに私が望むもの全て詰め込まれています。今聞いても30年前の古さは全く感じさせない完成度です。最高の作品。

因みに私がメタル好きになった原因の一つの作品です。大学の先輩、ホリオさんが私の誕生日に本作品をカセット・テープに録って来てくれたのです。もう一枚はメタリカでした。


2016年8月17日水曜日

谷崎潤一郎「蓼喰う虫」

商品の詳細

谷崎潤一郎「蓼喰う虫」を読了。大谷崎の本領発揮といった作品です。全編に漂う妖気のようなエロティシズムは凄いの一言。人形浄瑠璃の世界観を加えることで妖気をさらに増した。


人形のような妻の父親の妾と人形浄瑠璃はラストで交わる。その先のことは読者の想像に任されている。本書のタイトルに従えば、あんなこと、こんなこと考えてしまうのは人情でしょう。作者の実生活(佐藤春夫との細君譲渡事件)を考え合わせれば、なんか凄いこと想像してしまいます。


本作品はそれだけでなく、谷崎の美意識である「陰翳礼賛」からの記述もあり、楽しくさせてくれる。

とりもなおさず、本作品は主要な登場人物である夫婦にしても、奇妙な二人であるし、現代ならまだしも、その時代にそんな登場人物を描いてしまう谷崎の先見性というか、日本を見つめるまなざしに参ってしまう。もしかすると谷崎は人間の本性を知り抜いていたからこそ、これだけの先見性を見せたのかもしれない。どうせ百年たっても人間なんて変わらないんだから、と。

遠藤周作「沈黙」



遠藤周作「沈黙」を読了。考えさせられる物語。現在の企業の不正行為、オリンピックやツール・ド・フランスでのドーピング問題にも通ずる人間の根源的な問題を扱っている。「転んだ」宣教師を誰が責めることができるであろうか。信仰を守り続けるのは単純で、言葉は悪いかもしれないが、簡単なのかもしれない。信仰を捨て、人の命を救うといった大義名分の元で「転ぶ」ほうが大変なのかも知れない。その後の人生もしかり。生き続けるからこその辛さも理解できる。


読書の醍醐味は自分が体験できないことを、物語の流れに自分を置くことで体験できることであると思う。読書しながら、身悶えしながら、本書を読みました。すばらしい読書体験でした。