2016年8月17日水曜日

遠藤周作「沈黙」



遠藤周作「沈黙」を読了。考えさせられる物語。現在の企業の不正行為、オリンピックやツール・ド・フランスでのドーピング問題にも通ずる人間の根源的な問題を扱っている。「転んだ」宣教師を誰が責めることができるであろうか。信仰を守り続けるのは単純で、言葉は悪いかもしれないが、簡単なのかもしれない。信仰を捨て、人の命を救うといった大義名分の元で「転ぶ」ほうが大変なのかも知れない。その後の人生もしかり。生き続けるからこその辛さも理解できる。


読書の醍醐味は自分が体験できないことを、物語の流れに自分を置くことで体験できることであると思う。読書しながら、身悶えしながら、本書を読みました。すばらしい読書体験でした。



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