谷崎潤一郎「卍」を読了。谷崎の性癖全開の物語。本作品は主人公の独白形式となっている。話を聴いている「先生」が谷崎自身なのであろう。
本作品には谷崎の美意識、谷崎の人間観が存分に散りばめられている。関西の上流階級の人々が話す関西弁と同じ人物がその優雅な関西弁を使って行っていることの異常性。その二つがくっきりと対比させられることにより物語の輪郭がくっきりする。
まさに猪木の卍固めのようにこんがらがった人間関係。ラストについてもただの物語に終わらせない、谷崎の想像力に満ち溢れている。性によって人間は破滅する。そのことを根源的に理解している谷崎だからこその物語である。
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