2018年7月15日日曜日

尾崎翠と第七官界

作家、尾崎翠の名を知ったのは以前、NHKの田中裕子主演ドラマでした。記憶はバッチリあるのですが、ネットで調べると1992年1月15日のドラマ「29歳・おもかげを風にあたえよ」でした。ちょうど大学を卒業する前年。いろいろ苦渋に満ちていた生活をしていた頃です。時間帯も23:20~24:50という「苦渋」が想像できる時間帯に放送していたんですね。

頭の中には、主演の田中裕子の存在感もあり、不思議な印象が残りましたが、実は現代に生きる田中裕子演じる主人公が、尾崎翠の世界、すなわち「第七官界彷徨」の世界に迷い込むというあらすじでした。30年近く前のドラマを少しでも気に留めていられる、それも一回見ただけで、ということは非常に私の頭にインパクトを残したのです。なかなか無いですよね。

尾崎翠の作品は探すと現在もさまざま入手できます。文庫の全集もあります。解説本の類もありますので、興味があれば読んでみることをオススメします。彼女の不思議な世界観。きっと彼女しか見えない世界があったのかと想像できます。まさに「第七官界」です。その幻想的な世界感は現代でも十分に通用するものです。

気になる異性が「好きなものは「尾崎翠」と「キング・クリムゾン」です」なんて自己紹介されたら、きっと好きになってしまいます。

クリムゾンと肩を並べるくらい、そのイメージは強烈ですよ。


2018年4月1日日曜日

浦沢直樹 「MASTER キートン」完全版1

MASTER キートン。大好きな漫画。調べると1988年~1994年までの連載。ビックコミックオリジナルに連載されていたものです。この年代は自分の大学生活から社会人の新人時代まで。オリジナルは毎週欠かさず読んでいました。

そのころからMASTER キートンは大好きでした。この作品の持つ温度感が自分にしっとり来ます。落ち着いて読むことができる作品です。

今回BOOKOFFで完全版の1巻を入手。どの作品も記憶にあるものです。特に「砂漠のカーリマン」は思い入れのある作品です。サバイバルの真髄を見せ付けられた作品です。

そういえばSASもこの作品で知ったのでした。ゴルゴ13でその後沢山知ることができるのですが。。。

2018年3月2日金曜日

奈良の旅 2018年2月 3日目「西ノ京」

今日は西ノ京方面。天気予報では雨。歩いて薬師寺まで行こうと考えたが、やめて電車で行くことに。薬師寺はやはり基本中の基本です。講堂の弥勒三尊、金堂の薬師三尊といった巨大な仏像たち。存在感が違います。これまでどれだけの人々の祈りを受け止めてきたのか。その存在自体に心が落ち着きます。東院堂には聖観世音菩薩がいます。復興関連で仙台でも拝観しましたが、自宅にいると存在感が違います。薬師寺で経験しましたが、仏像たちは遠くで見ることも必要だということ。近くで細部まで見てやろうということではなく、遠くから、建屋と一緒に、その一体感を楽しむことはそれはそれで趣がありました。小雨交じりでしたが、良い時間を過ごせました。




 薬師寺のあとは、唐招提寺です。ここはセット。薬師寺から唐招提寺への道は堀辰雄も絶賛していましたが、いまは面影がないのでしょうね。唐招提寺は金堂の千手観音がその巨大さもあいまって、好きです。中央の盧舎那仏、右手の薬師如来も好きです。境内も広くて散歩するのにも良いですよ。

 





そして、歩いて西大寺を脇で見て、秋篠寺へ向かうのです。このお寺、小さいながらもその建っている場所、佇まい、お庭、大きさなど総合して個人的に最高のお寺のひとつです。目玉は伎芸天。芸能・芸術の仏様。今回もじっくり鑑賞。その女性的なお顔に心癒されます。よい仏像です。


 


秋篠寺には秘仏「大元帥明王像」があます。毎年6月6日に開帳。この障子の後ろにいらっしゃいます。一度は見たい秘仏です。

 
その後、西大寺駅付近で昼食をとり、昨日の疲れもあり、早めにホテルに入ったのでした。3日目のお酒も「風の森」。美味しいお酒です。

 
明日は帰宅の日。午前中に斑鳩方面です。










奈良の旅 2018年2月 2日目「山の辺の道」

今日は山の辺の道を大三輪神社から天理駅までのコース。JRで三輪駅まで行き、大三輪神社、9:30スタート。神聖な空気の中を拝殿や白蛇が住む巳の神杉、狭井神社の薬井戸でご神水を頂き出発。



山の辺の道は日本初の道といわれています。昔懐かしい感じの道です。道中には無人販売所があり、この時期は「はっさく」が沢山売られていました。だからコンビニとか無くても大丈夫。100円で大量のはっさくが購入できます。またトイレも途中途中にあり、安心して旅ができます。


 
古いお寺なんかもあって、いい雰囲気。周りに古墳も当たり前にあって、さすが奈良、という感じです。
昼近くに長岳寺に到着。ここの目的は参拝もありますが、そうめんが食せることができること。楽しみにしていました。が、今日はそうめん無しとのこと。ガーン。境内に多く居るネコ達に慰められながら、仏像参拝し、鐘をゴーンと鳴らし、しばらく戻ったところにあった蕎麦屋さんで蕎麦を食したのでした。「千古(ちこ)」というお店。甘めのツユが関西なのかなー。美味しくいただきました。
 
 
そして石上神宮(いそのかみじんぐう)にやってきました。鶏が沢山。事前情報がなく、びっくりしましたよ。奈良公園の鹿状態。不思議な空間でした。
 
 
そして天理市へ。不思議な宗教都市。私はカルチャーショックを受けてしまいました。不思議な場所です。
 
ショックを紛らわせるために、駅のコンビニでコーヒーを飲む。天理の商店街ではムリでした。。。
奈良市内に戻り、奈良公園へ。博物館の仏像展を見て、そのまま駅前立ち飲み屋の「まついし」へ。ここは良い立ち飲み屋さん。「おでん」と「ぽてさら」をツマミに少し飲む。おいしいし、なにより安い。マスターのホスピタリティも最高のお店。オススメの一店です。
 
ホテルへ戻って飲みなおし。奈良の日本酒といえば「風の森」。このお酒を飲みに奈良に来たといっても過言ではない。
 
 
大吟醸です。明日は西ノ京。3万歩以上歩いたのでお疲れです。

2018年2月12日月曜日

奈良の旅 2018年2月 初日「高畑・ならまち」

秋田から奈良への旅。初日は秋田発8:15分伊丹空港行きの飛行機で移動。秋田は雪。伊丹は晴れ。思ったほど暖かくなく、日差しはあるものの寒い感じでした。少なくとも手袋は必須です。空港から奈良駅まではリムジンバス。
昼頃、ホテルに荷物を置いて、すぐさま「ならまち」観光。お腹が空いていたので、目をつけていた「ならまち」のカナカナで「カナカナごはん(1300円)」を頂く。古民家カフェで人気のお店ですね。少し待ちました。でも美味しかったので良かったです。移動の疲れも癒せました。そのまま高畑方面へ散歩し、新薬師寺へ。



やはりここの目玉は、目玉の大きな薬師如来様。12神将に守られて大らかな心で見守ってくれています。おかしみも感じならが自分の干支の神将にお参りして、お寺様を後にしました。
そのまま、中心街に戻るのですが、今回は寄り道して「志賀直哉旧居」へ訪問。近頃志賀直哉再評価が個人的に高まっていたので、見たい場所ではありました。ゆったりとした住宅で、あこがれてしまいました。日差しも暖かく取り込まれた、明るい住宅。自分も住みたくなりましたよ。神社仏閣とは違いますが、奈良の見所ではあります。





そして、春鹿へ利き酒を行いに訪問。利き酒だけではなく、ここの奈良漬美味しいんです。それも購入するために訪問。5種類の春鹿のお酒を飲みます。自分の好みがわかります。お猪口で5杯ですが、結構いい気持ち。お猪口をもらって、奈良漬を買って外へでます。奈良滞在中には一度は行っておきたい場所です。
 


その後ホテルへ戻りチェックイン。今夜の食事は奈良の居酒屋名店、「蔵」へ。美味しいおつまみと熱燗で疲れを癒したのでした。
 
明日は山の辺の道をたどる旅。楽しみです。




2018年2月4日日曜日

ロバート・B・パーカー 「誘拐」

ロバート・B・パーカー 「誘拐」を読了。

スペンサーシリーズの第二作目。スーザン初登場の作品。

スペンサーにハズレナシ、との個人的な格言どおり、楽しい読書時間を頂きました。

頭をカラッポにしてスペンサーの活躍に身を任せるだけなので、楽しいばっかりの読書時間になるのです。

ストーリも単純ではなく、適度のフックもあって面白い仕上がり。良い作品でした。

スチュアート・ウッズ 「警察署長」

スチュアート・ウッズ 「警察署長」を読了。

文庫だと上下巻となり、何かと不便を感じ、単行本にて購入。

ジョージア州デラノという小さな町を舞台に3代の警察署長(連続ではない)の物語を破綻も無く描ききっている。長いので、たまに冗長な感じもするが、物語が生き生きとしていて、一気に読ませる。
ラストの事件解決の場面なんかは何か他の作品に生かされている(パくられている)気もするくらい、重厚な作品である。

面白かったな。

物語の世界に入り込むまで少しかかるかも知れませんが、少しずつ焦らずあなたもデラノの住人になりましょう。

2018年1月28日日曜日

中島らも 「なれずもの」

中島らも 「なれずもの」を読了。

死の1週間前まで続けられた対談集。
柴山俊之、宇梶剛士、竹井正和、安部譲二、本上まなみ、松尾貴史との間で行われた対談集。

対談の前段で、その様子の写真が掲載されているが、そこのらもさんの写真が良い。そのらもさんの表情がいい、たたずまいがいい。

対談の内容もらもさんの話が一貫していて、読んでいて気持ちいい。2004年7月26日逝去。まだまだらもさんの考えを知りたかった。

2018年1月21日日曜日

筒井康隆 「文学部唯野教授」

筒井康隆 「文学部唯野教授」読了。

数年ぶりの再読。

物語部分と唯野先生の授業部分から成り立つ。物語はハチャメチャで時代かかっている感じで、それはそれで面白いのです。

しかし唯野先生の授業は難しい。これ全て理解できる人は一般の読者でいるのでしょうか。

だからこそ知的好奇心がそそられるのです。

自らの無知を自覚して素直に読書しましょう。

そして少しでも唯野先生の授業について行ける様になりたいものです。

2018年1月14日日曜日

DEEP PURPLE「SLAVES AND MASTERS 」

ディープ・パープルの「スレイブス・アンド。マスターズ」です。1990年の作品。ボーカルがジョー・リン・ターナーになり、レインボウ出身者が3名となり、パープルと名乗るのが正しいのか難しいところではありますが、ディープ・パープルとして世に出た作品。

本作品の武道館で行ったツアー見に行きました。リッチーをちゃんと見ることができたこと、幸せだと思っています。
作品ですが、パープルというよりやはりレインボウの方向性を持った作品です。世の評価も分かれておりますが、個人的には傑作であると思っています。

その後、イアン・ギランを戻してアルバム製作するのですが、レインボウの方向性を持ったリッチーとは合わず、リッチーはレインボウ再結成するのですが、その作品はレインボウの方向性を持ったリッチーがレインボウで作品をつくったのですから、当然傑作となりました。レインボウのその作品「Strangers In Us All」は無名ミュージシャンでもリッチーが指揮をとれば傑作HRアルバムを作ることができることを証明しました。評価は低いけど・・・

リッチーの方向性を確認できる本作品はパープル名だからこそレインボウへの引力をを強烈に感じることのできる作品となったのでした。

塚本哲也「エリザベート ― ハプスブルク家最後の皇女」

塚本哲也 「エリザベート」を読了。
ハプスブルク家の最後の皇女の物語。ではありますが、19世紀から第二次世界大戦後までのヨーロッパの歴史を振り返る書になっている。
ハプスブルク家の話はそのままヨーロッパの歴史を語ることになるのであろう。壮大な物語となっている。
エリザベートの本質は皇女であり、貴族であったのであろうが、その行動だけが民衆の注目をうけたのであろう。貴族の言葉で民衆と付き合うエリザベート。ハプスブルク家の皇女としての尊敬をうけるエリザベート。いつでも愛に直進するエリザベート。
そんな皇女の歴史はそのまま、オーストリアの歴史と重なる。

激動の20世紀ヨーロッパを体現した女性エリザベートをしることは、そのままヨーロッパを知ることとなるのである。

FACES 「First Step」

新生フェイセズの1970年のアルバム。ジャケットに「SMALL FACES」とハッキリ書かれているところなんかが悲しい。

先日、レコードを聞かせるBARでロッド・ステュアートのベストを聞いていたら、無性にブリテイッシュ臭い彼の声が聞きたくなり、本作品をチョイス。

ジェフ・ベック・グループからロッドとロン・ウッドを迎えたスモール・ファイセズが新メンバーがでかかったため、バンド名から「スモール」を抜いたとのこと。

やはりロッドの歌声は夜に酒を飲みながら聞くのは最高に良い。彼の霧がかかった、少しの埃くさい男声は夜に合う。ロックはこうでなければという気にさせてくれる。

アトランティックを大股で渡る前のロッドが好きである。たまに無性に彼の声が聞きたくなるのは、彼の声に何か自分の心が揺さぶられるのであろう。そんなシンガーである。(あくまでアトランティックを渡る前。渡った直後もOK)

2018年1月7日日曜日

開高健 「輝ける闇」

開高健 「輝ける闇」を読了。

泥沼のベトナム戦争へ従軍した開高の経験をもととした作品。数々のブックレビューで賞賛を受ける一冊。まさしくその通り。文章からはベトナムの熱気やその熱気による南国の倦怠感。熟れた果実の匂い。人々の交わりから出てくる汗やにおい。それらを全て含む湿度感。

一方、死と隣り合わせとなっている緊張感。その緊張感で精神に影響が及んでいる人々。意味の無い戦争による意味の無い死。その意味の無い死がいつも隣に潜んでいる。VCの視線を感じながら戦場を進む。

それを表現可能としているのは作者の文章。

熱帯のねっとり感、戦場の緊張感、精神の壊れ方、全てが開高の筆でなければ描けなかった作品。

人の死、戦場での体験。読んでいるだけでもエネルギーや緊張感を強いる書である。いわんや経験していたら・・・

2018年1月6日土曜日

VA 「Ronnie James Dio-This Is Your Life」

DIOのトリビュートアルバム「Ronnie James Dio-This Is Your Life」です。2014年の作品です。

DIOの歌声はHM/HR界で別格なので、彼のトリビュートは難しいと思うのですが、どのバンドもデイオへの溢れる愛を感じることのできる熱演です。

特にMETALLICAのメドレー。流石メタリカ。心が震えます。

彼らの凄さは、ディオへのリスペクト(レインボウへのリスペクトかも)を失わず、それに加えて、彼らのオリジナルのエキスを曲に注入し、彼らの作品してしまう力量なのでしょう。リピート必須のメドレーです。

最高のトリビュート作品です。やはり作品自体の持つ力なのだと思います。

【収録曲】
 1. Neon Knights - Anthrax
 2. The Last In Line - Tenacious D
 3. The Mob Rules - Adrenaline Mob
 4. Rainbow in the Dark (feat.Jason Christopher, Christian Martucci, Roy Mayorga,
     Satchel) -Corey Taylor
 5. Straight Through the Heart - Halestorm
 6. Starstruck (with Biff Byford) - Motorhead
 7. The Temple of the King - Scorpions
 8. Egypt (The Chains Are On) - Doro
 9. Holy Diver - Killswitch Engage
10. Catch the Rainbow (feat. Craig Goldy, Rudy Sarzo, Scott Warren, Simon
      Wright) - Glenn Hughes
11. I - Jimmy Bain, Oni Logan, Rowan Robertson, Brian Tichy
12. Man On The Silver Mountain (feat. Doug Aldrich, Vinny Appice, Jeff Pilson,
      Scott Warren) - Rob Halford
13. Ronnie Rising Medley (Includes A Light In The Black, Tarot Woman, Stargazer
      & Kill The King) - Metallica
14. This is Your Life - DIO 

以上

2018年1月3日水曜日

色川武大 「怪しい来客簿」

色川武大 「怪しい来客簿」を読了。


伊集院静 「いねむり先生」を読んで興味を持ったので。阿佐田哲也 「麻雀放浪記」は体験していたが、純文学色川はあまり読んでこなかった。


本書はそれがもったいなかった、、と痛感させられる一冊。色川が出合った人々との思い出を記しているが、しかしその登場人物が成功している人ではなく、様々な苦悩を抱えている人に焦点が当てられている。そして色川のその人物を見る視点はあくまでも優しい。


読み進めていくと登場人物は特別な人達ではないことに気付く。自分の中にも彼らの気持ちが存在することに気付く。彼らの心持が自分にもあることに気付く。彼らの行動が理解できる。


色川だからこそ、描ける世界観。心地よく、しかし背筋が伸びる世界観である。

2018年1月2日火曜日

Mcauley Schenker Group 「Save Yourself」

マイケル・シェンカーがロビン・マッコリーをボーカリストに迎えた2作目「セイブ・ユアセルフ」です。1989年の作品。


このアルバムは大学時代の仲間の溜まり場に置いてあり、くだらない話しの後ろで流れていたアルバム。今聞いても、メロディが頭の中に残っています。


それから約30年。現在聴くと、欧州美旋律とポップな味付けが絶妙なバランスで配合されている名盤だと思います。イントロの壮絶なギターソロを聴いただけで、マイケルの本作品にかける心意気を感じることができます。名曲揃いのアルバムです。「ANYTIME」などはバラードの名品です。


MSG至上主義者が多いのは十分理解しますが、このマッコリー・シェンカー・グループも良いものです。