色川武大 「怪しい来客簿」を読了。
伊集院静 「いねむり先生」を読んで興味を持ったので。阿佐田哲也 「麻雀放浪記」は体験していたが、純文学色川はあまり読んでこなかった。
本書はそれがもったいなかった、、と痛感させられる一冊。色川が出合った人々との思い出を記しているが、しかしその登場人物が成功している人ではなく、様々な苦悩を抱えている人に焦点が当てられている。そして色川のその人物を見る視点はあくまでも優しい。
読み進めていくと登場人物は特別な人達ではないことに気付く。自分の中にも彼らの気持ちが存在することに気付く。彼らの心持が自分にもあることに気付く。彼らの行動が理解できる。
色川だからこそ、描ける世界観。心地よく、しかし背筋が伸びる世界観である。
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