2018年1月7日日曜日

開高健 「輝ける闇」

開高健 「輝ける闇」を読了。

泥沼のベトナム戦争へ従軍した開高の経験をもととした作品。数々のブックレビューで賞賛を受ける一冊。まさしくその通り。文章からはベトナムの熱気やその熱気による南国の倦怠感。熟れた果実の匂い。人々の交わりから出てくる汗やにおい。それらを全て含む湿度感。

一方、死と隣り合わせとなっている緊張感。その緊張感で精神に影響が及んでいる人々。意味の無い戦争による意味の無い死。その意味の無い死がいつも隣に潜んでいる。VCの視線を感じながら戦場を進む。

それを表現可能としているのは作者の文章。

熱帯のねっとり感、戦場の緊張感、精神の壊れ方、全てが開高の筆でなければ描けなかった作品。

人の死、戦場での体験。読んでいるだけでもエネルギーや緊張感を強いる書である。いわんや経験していたら・・・

0 件のコメント:

コメントを投稿