2018年1月7日日曜日

開高健 「輝ける闇」

開高健 「輝ける闇」を読了。

泥沼のベトナム戦争へ従軍した開高の経験をもととした作品。数々のブックレビューで賞賛を受ける一冊。まさしくその通り。文章からはベトナムの熱気やその熱気による南国の倦怠感。熟れた果実の匂い。人々の交わりから出てくる汗やにおい。それらを全て含む湿度感。

一方、死と隣り合わせとなっている緊張感。その緊張感で精神に影響が及んでいる人々。意味の無い戦争による意味の無い死。その意味の無い死がいつも隣に潜んでいる。VCの視線を感じながら戦場を進む。

それを表現可能としているのは作者の文章。

熱帯のねっとり感、戦場の緊張感、精神の壊れ方、全てが開高の筆でなければ描けなかった作品。

人の死、戦場での体験。読んでいるだけでもエネルギーや緊張感を強いる書である。いわんや経験していたら・・・

2018年1月6日土曜日

VA 「Ronnie James Dio-This Is Your Life」

DIOのトリビュートアルバム「Ronnie James Dio-This Is Your Life」です。2014年の作品です。

DIOの歌声はHM/HR界で別格なので、彼のトリビュートは難しいと思うのですが、どのバンドもデイオへの溢れる愛を感じることのできる熱演です。

特にMETALLICAのメドレー。流石メタリカ。心が震えます。

彼らの凄さは、ディオへのリスペクト(レインボウへのリスペクトかも)を失わず、それに加えて、彼らのオリジナルのエキスを曲に注入し、彼らの作品してしまう力量なのでしょう。リピート必須のメドレーです。

最高のトリビュート作品です。やはり作品自体の持つ力なのだと思います。

【収録曲】
 1. Neon Knights - Anthrax
 2. The Last In Line - Tenacious D
 3. The Mob Rules - Adrenaline Mob
 4. Rainbow in the Dark (feat.Jason Christopher, Christian Martucci, Roy Mayorga,
     Satchel) -Corey Taylor
 5. Straight Through the Heart - Halestorm
 6. Starstruck (with Biff Byford) - Motorhead
 7. The Temple of the King - Scorpions
 8. Egypt (The Chains Are On) - Doro
 9. Holy Diver - Killswitch Engage
10. Catch the Rainbow (feat. Craig Goldy, Rudy Sarzo, Scott Warren, Simon
      Wright) - Glenn Hughes
11. I - Jimmy Bain, Oni Logan, Rowan Robertson, Brian Tichy
12. Man On The Silver Mountain (feat. Doug Aldrich, Vinny Appice, Jeff Pilson,
      Scott Warren) - Rob Halford
13. Ronnie Rising Medley (Includes A Light In The Black, Tarot Woman, Stargazer
      & Kill The King) - Metallica
14. This is Your Life - DIO 

以上

2018年1月3日水曜日

色川武大 「怪しい来客簿」

色川武大 「怪しい来客簿」を読了。


伊集院静 「いねむり先生」を読んで興味を持ったので。阿佐田哲也 「麻雀放浪記」は体験していたが、純文学色川はあまり読んでこなかった。


本書はそれがもったいなかった、、と痛感させられる一冊。色川が出合った人々との思い出を記しているが、しかしその登場人物が成功している人ではなく、様々な苦悩を抱えている人に焦点が当てられている。そして色川のその人物を見る視点はあくまでも優しい。


読み進めていくと登場人物は特別な人達ではないことに気付く。自分の中にも彼らの気持ちが存在することに気付く。彼らの心持が自分にもあることに気付く。彼らの行動が理解できる。


色川だからこそ、描ける世界観。心地よく、しかし背筋が伸びる世界観である。

2018年1月2日火曜日

Mcauley Schenker Group 「Save Yourself」

マイケル・シェンカーがロビン・マッコリーをボーカリストに迎えた2作目「セイブ・ユアセルフ」です。1989年の作品。


このアルバムは大学時代の仲間の溜まり場に置いてあり、くだらない話しの後ろで流れていたアルバム。今聞いても、メロディが頭の中に残っています。


それから約30年。現在聴くと、欧州美旋律とポップな味付けが絶妙なバランスで配合されている名盤だと思います。イントロの壮絶なギターソロを聴いただけで、マイケルの本作品にかける心意気を感じることができます。名曲揃いのアルバムです。「ANYTIME」などはバラードの名品です。


MSG至上主義者が多いのは十分理解しますが、このマッコリー・シェンカー・グループも良いものです。

2017年12月30日土曜日

佐野元春「MANIJU」(2017年)と池田修三「ハナコ」(1982年)


佐野元春の2017年の作品「MANIJU」ジャケットと池田修三1982年作品「ハナコ」の比較。


まず、佐野元春の2017年の作品。


グットくるジャケットですね。アルチンボルトのようでもあります。













そして、秋田県の誇る版画家、池田修三が1982年に出した作品「ハナコ」






2017年12月16日土曜日

BRUTUS 2018年1/1・15合併号 危険な読書

読書や本の特集は媒体を問わず、つい触手が伸びてしまう。


また古本や書斎、本棚などの特集も手が伸びる。安心して読めるからである。


今回も仙台駅の書店で本書に手が伸びた。ペラペラめくっていたら、内藤陳の部屋の写真が目に飛び込んだ。自分の記憶が呼び覚まされた。読書好きに成った原因の一つが、この内藤陳が佇む部屋の写真が衝撃的だったからというのが一つの理由であった。いつだったか忘れたが、出会った衝撃は大変なもので、数十年以上昔であったが、たまにこの写真は頭に浮かんできた。本の壁が広がる部屋の右側に白い服装の内藤氏がタバコ片手に佇んでいる。


理想の部屋。


本しかない部屋。かなり素晴らしい。こんな生活をしたい、と思い思い生きてきた写真が目の前に現れた。衝撃的であった。新幹線の中でその写真だけで満足感を得ることが出来た。





















2017年10月7日土曜日

Jim Jarmusch 「Down By Low」

ジム・ジャームッシュ「ダウン・バイ・ロウ」です。1986年の作品。トム・ウェイツが主演しており、味のある演技を見せてくれます。また後に「ライフ・イズ・ビューティフル」で知られることになる、ロベルト・ベニーニも良いです。「ライフ~」よりも良い演技ではないですかね。

本作品ではロベルト演じるロベルト、ボブの存在感が観ている人間の心を捉える。ロベルトと他の二人を観て、ロベルト的人生や生き方に共感できるが、その境地に達するのはなかなか難しい。普通に生きていれば、どうしてもザックやジャックの生き方になってしまう。

そんなことを感じながら見ていましたが、ストーリーの寓話的な展開に難しいことや難癖をつけることなく最後の三叉路まで面白く見ることができました。

良い映画です。

やはり見終った後は、トム・ウェイツ「レイン・ドッグ」を聴いてしまうのです。