2017年9月30日土曜日

「運慶」 東京国立博物館

9/28(木)飛行機待ち時間を利用して、行きたかった上野、東京国立博物館で「運慶」を観にいく。

展覧会自体が始まったばかりで、混雑が予想されたが、天気もぐずついていて、これは大丈夫だろうということで、いざ上野へ。

予想通り、入場は並ばずに入ることに成功。時間は1時間30分しかないので、余計な時間を使わずに入場できるのはありがたかった。

入場すると、一発目は運慶デビュー作がお出迎え。ここでテンションも一気に高まる。

その後は、奈良興福寺、康慶作の四天王立像に踏みつけられている邪鬼が可愛かったり、法相六祖坐像のリアリティが凄かったり、真如苑の大日如来坐像が思ったより小さかったり、金剛峯寺の八大童子に癒されたりしたにも関わらず、疲労困憊。でもやはり本展覧会のメインは興福寺の無著・世羅菩薩立像です。とくに無著菩薩のリアリティのある表情に眼がすいつけられてしましました。無著のその黒目勝ちのまなこに吸い寄せられました。やられました。見る事ができて良かった。

時期の関係で重源上人が見る事ができなかったのが残念だけど、高山寺の子犬の愛くるしさも良かった。

しかしこれだけ仏像を見ると、疲れた。お腹いっぱいです。


最後のデザートとして、法隆寺宝物館で沢山の金剛仏を見学して、終了としました。ここはちょっと敷地のハズレにあって、いつも空いています。でも個人的に大好きな博物館です。


無事予定の飛行機にも乗ることができました。良い展覧会でした。めでたしめでたし。
 

Jim Jarmusch 「Stranger Than Paradise」

ジム・ジャームッシュ 「ストレンジャー・ザン・パラダイス」です。1984年の作品。もう30年以上昔の作品ですね。

当時は最先端の人間の必見作品のような扱いを受けた、おしゃれさん専用映画のような扱いを受けていましたが、30年以上寝かせれば、作品の核が浮かび上がってきます。すべてがワンシーン・ワンショットで間に黒幕が入る造り。モノクロームの粗い画面に主人公3人の存在感が立ち上る。

ラストのどんでん返しは痛快。エヴァが可愛くも味のある女の子で嬉しい。
物語の始めと終わりが繋がり、物語やタイトルを浮かび上がらせる。
良い作品です。

別におしゃれさん用作品でもなんでもなく、ただただ作品に身をゆだねればよろしい。

良い作品でした。

2017年9月18日月曜日

スタンダール 「赤と黒」(上下巻)

スタンダールの「赤と黒」を読了。800ページ強ありますが、楽しく読み進めることが出来ました。物語として楽しめるからです。


平民のジュリアン・ソレルが階級を這い上がろうとするドラマ。貴族や僧侶やお金、知恵を駆使し、這い上がろうとする様は現代の小説の主題ともなりえる。特に終盤のジェットコースターな展開に心奪われました。こういう社会的階級制度や、そこを乗り越える物語はやはり若いうちに読むべきでしょう。そういうことに心が繊細な時期に読むべき書です。パンクロックに通じるといったら良いでしょうか。その不満や不条理を理解し、主人公の立場になって読み進めることができるのも若いうちです。年をとると様々なことが判ってきたりしちゃうから。。。残念です。


「武器を取れ」という思想で貴族社会や階級社会に挑んでいったジュリアンのパンクスピリットに敬意を表します。

Queensrÿche 「Promised Land 」

クイーンズライクの5枚目のアルバム「約束の地-プロミスト・ランド」です。1994年の作品。発売当初はその内省的な作風が心に響かず、20年以上寝かせてきたアルバムでしたが、昨日聞きなおしたところ、これがまた良かったのです。

前作「Empire」(1990年)がヒット曲もあり、耳障りの良いキャッチーな作品であり、また前々作「Operation: Mindcrime」(1988年)が専門誌も絶賛する名作メタルアルバムであったこともあり、当時の私の気分本作の内省的な作風に合わず、放置状態となっておりました。ところが年をとり、聴き直すと心にスット入ってくる楽曲たちでした。

時代の雰囲気もあるのでしょう。その頃のシーンではグランジやオルタナといった旋風が巻き起こっておりました。プログレッシブなメタルということだけで、時代から敬遠されていたのです。

今の時代彼らが当時目指したものが、自然に心に入ってきます。素晴らしい名曲達です。これからの愛聴版です。この作品から時代と時間が必要な作品があることを教えてもらいました。

2017年9月3日日曜日

「ミューズ まなざしの先の女性達」 秋田県立近代美術館

「ミューズ まなざしの先の女性達」を秋田県立近代美術館で観る。
国立西洋美術館の女性をモチーフにした作品がメイン。国立西洋美術館の個人的なミューズ、カルロ・ドルチ「悲しみの聖母」も秋田出張でちゃんといらっしゃいました。聖なる横顔をブルーのショールに包んだそのお姿は相変わらず美しい。

ダフィット・テニールス(子)「聖アントニウスの誘惑」もコチラに出張。ボスのような幻想的な絵画です。

東京でしか見られないこのような作品達が秋田で見る事が出来ることに感謝。


お庭では秋田県にご挨拶。作者は仏像でお世話になっている東京芸大の薮内先生でした。
 


2017年9月2日土曜日

「ボストン美術館の至宝展」 東京都美術館

「ボストン美術館の至宝展」を上野の東京都美術館で観る。古代エジプトから中国美術、日本美術、フランス絵画、アメリカ絵画、版画・写真、現代美術とボストン美術館の守備範囲のごとく、広い守備範囲の展覧会。

日本でいうと、喜多川歌麿から村上隆まで。縦にも横にも奥行きも広い展覧会となった。メインはゴッホのルーラン夫婦の2枚。流石の大迫力。

またモネの「ルーアン大聖堂」も感動の作品。アメリカ美術も良い作品が多く感動しました。

それにしてもモースやフェノロサに日本美術の良さを我々は教えてもらったんだな、と非常に良く判る展示会。

自分のことを自分で判断できない我々の感覚。展覧会を観て反省も浮かび上がる、複雑な心境であった。

「アルチンボルド展」 国立西洋美術館

「アルチンボルド展」を上野の国立西洋美術館で観る。日曜美術館で予習済みでしたので、お目当ての作品もしっかりありました。

それは春・夏・秋・冬を表した4枚の絵画と大気・火・大地・水を表した4枚の絵画が2枚1組で壁の4面に飾られている作品達です。全てがそのタイトルに関係するもので組み合わされた人物が描かれている。
この8枚4面に囲まれていると当時の所有者は世界制服した気分になったのであろう、日曜美術館の解説は全くそのとおりだと感じました。これはこれでよい展示会であり、刺激を受けました。


今回の国立西洋美術館では、常設展が非常に良かった。
まずはヨハネス・フェルメールに帰属とされている、「聖プラクセディス」です。フェルメールの真作かどうか専門家の間でも判断が分かれている作品。
作品自体は非常に素晴らしいものです。でも人だかりも何もない。もし真作だと決定されれば、本作品だけで展覧会が企画されるであろう、大傑作です。アルチンボルドであれだけ混雑しているのであれば、本作品がフェルメールであったときの混雑は想像を絶します。
今は誰にも注目されない作品。今のうちに目に焼き付けておきましょう。また企画展を観たら毎回、常設展にも足を運びましょう。
大傑作です。

もう一枚常設展で心打たれた作品がギュスターブ・ドレの「ラ・シエスタ、スペインの思い出」です。
常設展でいつもはっとさせられる作品。今回も絵の前でしばし立ち止まりました。
光のコントラストが素晴らしく、画面の人間たちの生活感を炙り出している。傑作です。

今回は常設展の図録を購入。「聖プラクセディス」は記載が無く寂しかったですが、大満足の展覧会でした。でも常設されている美人さん達が出張中でしたので、出張先の秋田まで追いかけたのでした。