2017年6月29日木曜日

鈴木伸元 「加害者家族」




鈴木伸元 「加害者家族」を読了。
ちょっとのことで、我々も犯罪加害者家族になる可能性がある。
それはもう神様の匙加減でしかないことを本書を読むことで理解できる。
本書の衝撃は我々も本書の主人公になる可能性があるだけでなく、アメリカのアーカンソー州の高校での銃乱射事件の加害者家族の事例である。日本では社会から村八分から村十分の扱いをうけるのが普通であるが、加害者家族が受けたのは激励であったという。驚愕の事実である。日本ではネット社会でプライバシーの隅の隅まで暴かれて、抹殺されるのが普通であるのに、アメリカでは加害者家族を激励する論調しかないという。民度という言葉は嫌な言葉だが、この言葉がアメリカと日本の違いを表すには最適である。その民度を構成しているのは我々一人であることに違いは無い。


2017年6月25日日曜日

夏目漱石 「抗夫」




夏目漱石 「抗夫」を読了。村上春樹の「海辺のカフカ」に出てきたときから読みたいと思い、今回初めての読了。海辺のカフカにもありましたが、夏目作品で「評判のよくないものの一つ」です。でも面白く読み進めることができました。主人公の意識が作品上に埋め尽くされています。とめどなくでてくる主人公の自我。これはこれで19歳の青春の青さも感じることができて良い。後半の安さんもいい味がでている。これはこれでよかったですよ。次は「虞美人草」ですね。




2017年6月18日日曜日

村上春樹 「国境の南、太陽の西」


村上春樹 「国境の南、太陽の西」を読了。
所謂、「あっちの世界」が出てこない物語。でも少しメタファー的には出ているのかも。バブル真っ最中の日本を舞台とした物語。話もなんかゴージャスなカオリ。現代物です。
「あっちの世界」が無いだけで(感じさせないだけで)、これほどまでに感覚が変わるものなのでしょうか、ぐらいの変化がある。wikiで見ると、「ねじまき鳥~」にあった、取り除いた3つの章を元にできた物語。
ラストのタクシーに乗っている女性の描写が怖かった。。。

2017年6月10日土曜日

トージ・コージ! 〜発酵文化人類学出版ツアー in 秋田

今日は秋田市民市場でのトージ・コウジのイベントに参加。新政の杜氏、古関さんと発酵デザイナー小倉ヒラクさんのトークイベント。これがまた非常に面白く、好奇心を掻き立てられました。特に麹菌の話は最高に面白く、納得の内容でした。そしてお二人のトークが素晴らしい。イイ感じというか、非常に判りやすい話で、こちらも興味深く聴けました。行ってよかった。
超個人的には、発酵デザイナーの小倉さんは小生と名前が同じ。著書を購入した際に聞いたのだが漢字も一緒。イベント中、ヒラク君、ヒラク君と言われて、学生時代も同名さんが居なかったので、ヒラク君と呼ばれるたびに、ビクンビクンとしていました。なんか50近くなっても新しい発見ってあるんだな、と思った次第。
帰りは新政を求めて、まるひこ酒店へ。新政品切れで、ガックリ。
でも最高のイベントに参加できて幸せな一時でした。



これは今日買った本。作者のサインと同じ名前を書いてもらいました。



村上春樹 「スプートニクの恋人」


村上春樹 「スプートニクの恋人」を再読。
「本当の物語にはこっち側とあっち側を結びつけるための、呪術的な洗練が必要とされる」(p26)とあるように、呪術的な洗練を感じさせる物語。他の長編ではあっち側の物語も丁寧に描かれているが、本作品には「あっち側」の記述はない。「あっち側」の世界観は村上の中にはあるが、読者には提示されない。そして本作品は「ありそうな話」として、寓話ではない物語を体験できる。
これはこれで面白かったし、村上作品の肝を感じることもできたことは嬉しい。

村上春樹 「海辺のカフカ」



村上春樹 「海辺のカフカ」を再読。田村カフカ君15歳の物語。結論は無いし、物語の構成要素の詳細も明かされない。ただ読者はカフカ君の現実の世界と非現実の世界を彷徨う。そこにはナカタさんの世界も重なるが、両者は交わらない。一部に佐伯さん、ホシノさん、大島さんの兄もその非現実の世界に登場するが、お互いには交わらない。
何か人生のメタファーのようです。世界は図書館の壁にかかってあった絵のようなものなのでしょう。そこが世界で、まるで自分の周り(現実も非現実もまとめて)が一枚の絵に表されているようなもの。絵の中心に描かれている主人公はいつの間にか自分になっているように、世界は自分中心でしか見ることのできないものなのかもしれません。
この村上の作った世界観にはすぐドップリつかることが出来ました。長編なので一気読みは難しいですが、ページをめくり始めた瞬間からすぐ物語の世界に入いることができます。
オモシロい物語でした。
今回は物語に出てきたクラッシク音楽を購入。ベートーベンとシューベルト。まだ到着してませんが、ホシノさんや大島さんの気持ちになれるか、試してみるのが楽しみです。