2017年3月23日木曜日

赤坂真理 「愛と暴力の戦後とその後」


赤坂真理 「愛と暴力の戦後とその後」を読了。作家赤坂が彼女の著作「東京プリズン」制作過程で考えた、彼女の個人的戦後の物語。超個人的な戦後史のため、そこを受け入れられない読者も多いのかもしれない。個人的には不思議な読後感。個人的なんだけど、そこでも納得できる考えもある。面白く読めたことを白状しなければならない。
また本書に出てくる「敗北を抱きしめて」と彼女の著作「東京プリズン」は読まなくてはならないであろう。でないと、本書を正確に読み解くことは難しいかもしれない。

2017年3月20日月曜日

秋田市立千秋美術館 「描かれた人」



秋田市立千秋美術館でコレクション展「描かれた人‐人をめぐる絵の世界-」を観る。人をテーマにした展覧会。良い作品が多かったですね。特に一木弴「シュミーズ着たる女」です。写真の右側の絵です。印象派ばりばりの作品で心に残ります。
その他も興味深い作品が沢山。入場料300円も嬉しい。よかった。

小堀宗実 「茶の湯の宇宙」


小堀宗実 「茶の湯の宇宙」を読了。作者は遠州茶道宗家13世家元。
これぞ「おもてなし」の世界。茶の湯だけでなく、日常生活を円滑におくるための「おもてなし」が盛りだくさん。本書だけで世界は平和になれるはずである。そんな力がある書。
個人的にも本書の世界に少しでも影響されようと思った。素敵な書。

酒井雄哉 「一日一生」


酒井雄哉 「一日一生」を読了。千日回峰行を二度満行した大阿闍梨。
とても偉いお坊さんなのに、その語り口は優しくて平易。
でも心に染み入ります。生き方に悩む人は本書ですこしは救われるのではないかな。
簡単だけど、奥が深い。彼にしか表せない境地。

また再読しよう。

永井龍男 「青梅雨」


永井龍男 「青梅雨」を読了。短編集です。日本人の情念というか、日本人にしか理解できない世界観が描かれています。そして文章もいい。これだけうまい文章だからこそ、情念を浮かび上がらせることが可能なのである。そこいらの人間がまねしても達せられない境地。その力で人間の生活の断片を切り取る。すべては開示されない。想像力が試される。想像力で何百もの結論が導き出される。これぞ文学といった作品です。

作家志望者は本作品集を読みましょう。自分が情けなくなりますよ。

あー全集欲しいなー。

2017年3月19日日曜日

中上健次 「岬」



中上健次 「岬」を読了。「黄金比の朝」「火宅」「浄徳寺ツアー」「岬」の4編を収めた作品集。「岬」で芥川賞を受賞。中上の作品は初めて読みました。なかなか敷居が高かったのも事実。なかなか骨のある作品で、最近の作家へ中上が与えた影響は大きかったのだと理解。そういった意味では中上の世界観は現在にも生きている。ただ本作品集では中上の世界観を掴むことが難しい。作品によっては、つまらないものもあるからだ。彼を知るにはもっと、彼の作品に当たらなくてはと考えた。その先に彼の評価が定まるのかもしれない。

高峰秀子 「にんげんのおへそ」








高峰秀子 「にんげんのおへそ」を読了。大女優の随筆。これがいいんです。大女優らしい記述もありますが、生活の根源は普通の人です。その感覚が素晴らしいです。
自分の私生活までネタにしてます。養母との関係性は随筆としてあらわすことで昇華できたのだろうか。車椅子の少年との別れは彼女の優しさに溢れている。「人」と「人間」を区別する感性。日常を日常として生きる姿に共感を覚える。
彼女の作品をさらに読みたくなった。

2017年3月12日日曜日

「バンド臨終図巻」



「バンド臨終図巻」を読了。1961年から2016年までに解散した古今東西のバンドの解散を集めた書。山田風太郎の書からとった書名です。(本文中にもあり)バンドの解散は様々な要素があると思う。本書のように数ページでは語りつくせない物語がある。ファンはそこを知りたい。でも本書の性格からはこのような読まれ方を想定していない。我々読者は広く浅く、それこそモーターヘッドからSMAPまでの解散原因の入り口を本書によって知ることが出来る。その先はそれぞれの読者に課された宿題のようなものだ。解いても、解かなくても良い宿題。そんな使い方の書です。

2017年3月6日月曜日

ピーター・ラヴゼイ 「猟犬クラブ」



ピーター・ラヴゼイ 「猟犬クラブ」を読了。密室ミステリ。ミステリ好きのサークルに事件が舞い込む。それが殺人事件に。。。といった推理小説。謎解きも十分楽しめます。個人的には十分楽しめました。二転三転するダイヤモンド警視の推理。面白いなー。たまにはハードボイルドじゃなくてこんなミステリも楽しく読みました。

2017年3月4日土曜日

東京スカパラダイスオーケストラ 「Stompin' On Down Beat Alley」





東京スカパラダイスオーケストラ 「Stompin' On Down Beat Alley」です。彼らの2002年のアルバム。通算9作目。奥田民夫や田島貴夫の参加でヒット曲満載のアルバムですが、全編skaで埋め尽くされている稀有な作品。一家に一枚くらいはスカパラがあってもいいなーという気持ちで大型中古ショップのバーゲンで購入。200円。十分すぎるぐらい元はとりました。

こういったコアな音楽とポップ性を両立させている彼らは凄いです。聴いていてレピッシュを思い出してしまいました。 

高見沢潤子 「兄小林秀雄との対話」



高見沢潤子 「兄小林秀雄との対話」を読了。作者は小林秀雄の妹。作者のダンナ様は漫画のらくろの作者。
難解といわれる小林哲学の入門書になるでしょう。本書を繰り返し読むことで、小林作品の理解の手助けになることは間違いなし。優しく、実際の対話から小林の思考を表に出してくれる。
興味がある人は手にとってみるといいでしょう。
手元にあるのは講談社現代新書。学生時代のアパート最寄り駅の小さな古本屋で購入。現在は講談社学芸文庫版を入手できるようです。




大平健 「食の精神病理」


大平健 「食の精神病理」を読了。作者の岩波新書から出ている書の大学生からのファンでしたので、当然に買ったのでした。(いままで温めてました)
岩波に載っていた、個人的に印象に残る人物のエピソードも再掲されており、また絵本のストーリから「食」を切り取り考察するという作者独自の視点も面白かった。

本棚整理で出てきた本。発掘もまた楽し。