2016年11月24日木曜日

THE TIMERS 「ザ・タイマーズ スペシャルエディション」

【早期購入特典あり】THE TIMERS スペシャル・エディション(2CD+DVD)(特典;特製ピックケース+ピック)

THE TIMERSスペシャルエディションを購入。目的はDVDで30年前のライブ映像を観ることである。

当時(1988年)の横浜国大でのライブは、地方から上京してきた18歳の心を打ち砕くのには十分な破壊力であった。ボ・ガンボス,山口富士夫ティアドロップス、泉谷しげるwithLOOSERというラインナップでのライブは会場となった、大学の野外音楽堂を熱狂の渦に巻き込んだ。トリの泉谷の前に登場したタイマーズは、覆面バンドという情報であったが、既にそのころには、清志郎のバンドということは明らかであった。

あとは本作品のDVDで確認してほしい。曲なんか何にも知らない観客の熱狂ぶりを。ライブ中止になるくらいのパワーを。本当は収録されていない、いや収録することのできない曲こそタイマーズのタイマーズたる所以であり、今思い出しても、パンクの生まれる瞬間を目撃できた興奮でいっぱいである。

「原発賛成音頭」から「ロックン仁義」の流れは30年の時を超え、まざまざと中年の脳裏に浮かんできた。心が熱く震えたことを告白しなければならない。

この時代、携帯電話もインターネットもなく、情報は紙媒体や口コミしかなかった。だからこそ、タイマーズが本当に登場し、過激な歌詞で歌い始めたときの衝動はもう我々は体験することができないかもしれない。ロックの初期衝動を感じることは不可能なのかもしれない。そう考えると、この経験は本当に貴重だったのかもしれない。

その空気感を荒れた画像で見返すとき、その心の震えの手応えは頭に残っているので、まだ手にとることができる。

そんなことを思い出させてくれた本当の意味での「スペシャル・エディション」であった。


リマスターされた音源もゆっくりと聴こう。酒でも飲みながら、歌いながら。


2016年11月20日日曜日

ロバート・B・パーカー 「初秋」

初秋
ロバート・B・パーカーのスペンサーシリーズの名作といわれる「初秋」を読了。その前に「レイチェル・ウォレスを探せ」もあわせて読了しましたが、今回は初秋の話。
今となってはミステリも好きであると公言できますが、以前は全くの門外漢。村上龍のエッセイで「初秋」「レイチェル・ウォレスを探せ」の両書が推薦されていたので、高校卒業あたりで読んだのが初。今回30年近くたってからの再読。

マチズモ満載の本作品ですが、男の生き方の一つを現していることは確か。ここまで宣言しなくても、心の底で考えている人間は多いのかもしれません。考えの部分で共感できるところが多数。一つ男なら手にとって見ても良い作品かもしれません。私はオススメいたします。



2016年11月19日土曜日

西村寿行 「蒼茫の大地、滅ぶ」(荒蝦夷)

蒼茫の大地、滅ぶ

西村寿行「蒼茫の大地、滅ぶ」です。1978年に単行本で出版されましたが、当方が手に取ったのは2013年に仙台の出版社、荒蝦夷から出版された版です。東北の大震災とリンクする内容なので、長らく絶版であった本書を仙台の出版社が復刻することの意味は大きいでしょう。

本書は東北独立がテーマとなっている。長く日本人の心の中にある東北差別。震災で明らかになった原発の問題といい、その差別されている東北の独立の可能性を自然災害とからめた異色サスペンス長編です。手に汗握る展開であっというまに読み終えてしまいます。

現実感にあふれた設定なので、この震災後の東北の展開を考える上でも重要な作品だと思います。こういう地域ナショナリズム的な作品には弱いです。東北人としての誇りと東北人の劣等感が入り混じり、極端な方向へ振れやすいからです。私も確実に読んでいて、極端なほうに振れました。

東北の歴史を再確認する機会となる書に出会いました。今度は本書にも出てきた、奥羽越列藩同盟について探求してみたいと思います。

2016年11月5日土曜日

秋田フォーラス「シネマパレ」で今敏監督「千年女優」を観る


今敏監督「千年女優」を秋田フォーラスのシネマパレで観る。2002年の作品。
女優の現在と過去そして作品の中とめまぐるしく場面が変化するが、構成がしっかりしているので、ちゃんとついていける。ちゃんとついていけるのが不思議。矛盾もあるだろうが、気にならない。なぜならスピード感がすごくて、少しの矛盾を跳ね飛ばすくらいの力がある。
すごい作品でした。ラストの主人公のセリフも大人味でよろしい。

でもこの作品は映画館でみるべき。大画面と大音量で作品をしっかり受け止めることができます。そしてシネマパレはフィルムなのです。フィルムの質感もよかったです。

秋田フォーラスの改修に伴い、シネマパレは来年2月で閉館。秋田ではこの映画館でしか映画を観ていません。雰囲気といい、最高の劇場です。2月まで、いっぱいシネマパレで映画を見ようと決意を新たにしました。